山賊退治専門屋
​「――見つけたぞ」

​「ヤンス……!」

​ 闇の向こうから現れたその巨躯を見ただけで、
 誰なのかすぐに分かった。

 ヤンスだ。
 追ってきたんだ。

​「急にいなくなるから心配したぞ」

「……ごめん」

​ 少しの間、
 重苦しい沈黙が流れる。

 やがて、
 ヤンスはまっすぐ僕を見つめて言った。

​「俺は、ランポが好きなんだ」

「……それ、前にも聞いたよ」

​ 気持ちは知っている。
 だけど、僕にはどうしても納得できないことがあった。

​「今でも、お前を愛してる」

「愛してるって言うけど……どうして? 僕たちは他人でしょ。どこかで会ったこともないのに、突然そんなこと言われたって困るよ」

 ​僕が問い詰めると、
 ヤンスは悲しそうに目を伏せた。

​「……前世の話をしよう」

「前世……?」

「ランポが知りたいなら話す。
俺とタンパニー、それにザイコスキーは幼なじみだったんだ。
……俺は、もう五十年以上生きている」

​ ヤンスは遠い目をして、
 静かに語り始めた。

​「三十年前、
この世界には三つ子の王子がいた。
ザイコスキーは第一王子を、
タンパニーは第二王子を
……そして俺は、第三王子を愛していた」

​ 息を呑む僕に向かって、
 ヤンスは語気を強める。

​「ランポ……お前は、
その第三王子の生まれ変わりなんだ」

​ 驚きの事実に、
 僕は言葉を失ってしまう。

​「だから、
もう一度俺を愛してほしい」

「急にそんなこと言われたって……前世なんて覚えてないし、
本当にあったことかどうかも分からないよ」

「それでも、
俺は一度だって忘れたことはなかった」

「……もし前世の話が本当だとしても、今の僕は『今の僕』だ。
別の人間なんだよ」

​ 胸の奥から湧き上がる感情を整理しなが
ら、
 僕は自分の気持ちをしっかり言葉にして伝えた。

​「本当に僕を愛してくれるなら
……もう閉じ込めたり、
束縛したりしないで。
自分だけが前世を知っていて、
その気持ちだけで僕との関係を決めようとするなんて……そんなの不公平だよ。
本当に愛しているなら、
隠さずに全部話して、
一緒に考えてほしい」

​ 僕の言葉を静かに受け止めたヤンスは、ぽつりと呟いた。

​「……悪かった。
前世を思い出したら、
お前が苦しむと思って……だから、黙っていたんだ」
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

空賊退治専門屋
苺 恋/著

総文字数/7,138

青春・友情5ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
この作品はアルファポリスでも投稿しています。
元不良お嬢様〜小さな苺姫の物語〜
苺 恋/著

総文字数/13,806

恋愛(学園)13ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
この作品はエブリスタ、アルファポリスでも投稿しています。 毎ちゃん ハーフツインシニヨンの髪型にしています。 好きな色はストロベリーピンクと苺色。 いちごクリニックの医師令嬢。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop