山賊退治専門屋
​ ギルドの一室に着き、
 ようやくひと息ついたところで、
 僕は気になっていたことを尋ねた。

​「あのさ……君は一体、何者なの?」

「言ったでしょ? 山賊専門の退治屋だよ」

「いや、それは知ってるけど……」

​ 呆気らかんと答えるラゴに、
 僕は本題を切り出す。

​「どうして僕が誘拐されたことを知っていたの?」

「ああ、最初から知っていたわけじゃないよ。
ヤンス……あのアジトのリーダーのところへ情報を集めに行く途中で、
たまたま噂を聞いただけ」

​「……そうだったんだ。
ちなみに、ここはどこ?」

「山賊専門の退治屋が集まる街だよ」

​ ラゴはそう言って窓の外に視線を向けた。

 賑やかな街の喧騒とは裏腹に、
 彼女の横顔にはどこか警戒の色が浮かんでいる。

​「……山賊は、また来るかもしれない」

「えっ……どうしてそう思うの?」

「明確な確信はない。
ただ……そんな気がするだけ」

​ ラゴは静かに振り返り、
 まっすぐ僕を見つめた。

​「山賊たちの本当の目的はまだ分からないし、
彼らがなぜ君に執着するのかも調べる必要がある。
……君、ただの『巻き込まれた異世界人』ってわけじゃなさそうだね」

​ ラゴの言葉に、
 僕はごくりと息を呑み、
 力強くうなずいた。

​ ――もう二度と、
あんな山賊になんてさらわれるものか。

​ ヤンスの執着、
 前世の約束、
 そしてこの世界に連れてこられた理由。

 僕は絶対に、
 山賊たちが僕を狙う本当の理由を突き止めてやる――そう心に誓った。
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