転生令嬢は謎の騎士に溺愛されています!?~地味スキルと言われましたが【待機】と【接続】で料理も魔法も思いのまま? 辺境で幸せになります!~

「ふ、ふざけるな! ならばここで貴方を消すまでですぞ! いでよ、我が最高傑作『合成獣(キメラ)』!!」

 バリオスが杖を振り下ろすと、魔方陣からおぞましい咆哮とともに、巨大なキメラが這い出ようとしてきた。
 ……出ようとしてきた、のだけれど。

「あ、それ出さないでください。【待機(スタンバイ)】」

 私が指を鳴らした瞬間。
 魔方陣から半分這い出たキメラは、ピタッと時間を止められ、見えない壁に挟まれたように静止した。

「なっ!? 私のキメラが!? 馬鹿な、どんな魔術を……!」

「【接続(コネクト)】!」

 私は地面に手をつき、バリオスの足元にある魔方陣からの、魔力供給ラインっぽいものを、その辺に転がっていた、ただの石ころに繋ぎ変えた。
 しゅーん、という音とともに、壮大な魔方陣の光が完全に消え失せる。

「魔、魔方陣が……沈黙した?」

「はい。起動用の魔力を全部その石ころに繋いでおいたので。これで魔物の異常発生もストップです」

「石ころに繋いだだと!? 私の、人生を注ぎ込んだ十年がかりの大規模魔方陣を、ただの石ころに!?」

 バリオスが膝から崩れ落ちた。
 だが、彼は狂乱したように立ち上がり、隠し持っていた短剣を握りしめて私に向かってきた。

「ならば、せめてその忌々しい小娘だけでも――!」

 その瞬間。
 世界は、完全に凍結した。

 目にも留まらぬ速さで私を庇うように前に出たレオンさんが、バリオスの首筋にピタリと剣の刃を当てていた。
 その翡翠色の瞳には、一切の感情がない。
 あるのは、ただ絶対的な死を宣告する冷酷な光だけ。

「……俺の命(ユフィ)に、薄汚い刃を向けたな」

 地を這うような、恐ろしいほどの殺気。
 バリオスはガチガチと歯の根を鳴らし、短剣を取り落とした。
 レオンさんの剣が、容赦なくその首を刎ねようと動く――。

「レオンさん! だめです!」
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