オタクな秘書の攻略方法〜来る者拒まず去る者追わずだった同期に一途に溺愛される
【水面下で進む、出来る男の包囲網】
だが、蓮はただ悶えているだけの男ではなかった。
愛する真白を「ぷんぷん」と怒らせ、自分のオフィスを荒らし回る麗香に対して、蓮の瞳の奥は氷のように冷たく澄み渡っていた。
その日の夜。
誰もいなくなった営業一課の会議室で、蓮、佐伯、そして常務室から合流した聖良の三人が集まっていた。
「……西園寺麗香が、父親(西園寺会長)の権力を勝手に乱用して、プロジェクトや人事権を盾に我が物顔で振る舞っている証拠、これだけ集まったわよ」
聖良が、スマートフォンの画面と、社内の入館履歴、さらに麗香が蓮に送ってきた「脅迫まがいのメッセージ」のコピーをテーブルに並べた。
「さすが小鳥遊さん、仕事が早い。俺の方でも、彼女が勝手に決裁ルートをバイパスして、西園寺グループの資金を動かそうとしていた形跡を掴んだ」
佐伯がタブレットのデータを提示する。
蓮はそれらの証拠を冷徹な目で見つめ、フッと不敵な笑みを浮かべた。
「西園寺会長は、業界でも厳格で公私混同を最も嫌う人物として有名だ。娘が自分の名前を騙って、我が社でこれほどの横暴を働いているとは夢にも思っていないだろうな」
「だね。もし知ったら、あの頑固親父、ひっくり返って激怒するぞ」
佐伯がニヤリと笑う。
「――この資料一式を、直接、西園寺会長へ届ける。常務のコネクションを使って、極秘裏に直訴の場をセッティングしてもらった」
蓮は冷ややかに、けれど確実な勝利を確信した声で言った。
「真白をイライラさせ、俺たちのオフィスを汚した代償は、きっちり払ってもらう。……西園寺麗香、お前の『好き放題』はここまでだ」
真白を愛し、真白に愛された男は、彼女のためならどんな牙でも剥く。
美しく、冷徹な復讐の包囲網が、水面下で着々と完成しつつあった。
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