愛しいひと――く ち な し身代わりの恋(番外編)
 正確に言うと、両想いになったことが殆んど無かった。

 初めて彼女が出来たのは、まだ中学一年生の時で、それからは絶え間なく、好きだと女に言われてきた。

 けれど、俺から好きになった人には好かれた事はない。

 そんな話をすると、「気持ちをちゃんと伝えないからだ」と、大学で知り合った理に言われた。

 恋愛小説を読んだり書いたりしてるせいか、奴はやけに人の想いに敏感で、色恋沙汰にしたがる。

 俺は態度に出したつもりはないのに、

「今日、姉さん、休みだから昼までは家にいるぞ」

 聞いていないことを理に教えられた。

「だから何だよ」

 そう突き返しながらも、きっとその情報を大切にして俺は理の家に遊びに行くだろう。

 話しかける事すらできないのに。


 俺は、理の姉さんほど、好きなタイプな人に出会ったことはなかった。
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