愛しいひと――く ち な し身代わりの恋(番外編)
いつものホテル。
「妊娠しちゃった」
私がノブに生理が来ない事を告げると、ノブの表情は固くなった。
ソファーから一ミリも動かない。
「……あの時の? 危険日じゃないっていうのは?」
ベッドに座る私を、まるで魔女でも見るような目で見た。
明らかに恐がっている。
「勘違いだった。人間だもん、そういうことあるでしょ」
ノブは無表情のまま、頭を掻いていた。
もしかしたら、″おろせ″って言いたいのかもしれない。
こんな状況でも私は、
「教師になるより、母親になりたいの」
ノブの優しさを信じていた。