愛しいひと――く ち な し身代わりの恋(番外編)
 ノブは立ち上がって、ゆっくりと私に近づいてきた。

 無表情で私を見下ろす。

……信じていたけど、もしかして、なじられる?
 
 殴られる?

 一瞬、目を閉じた。

「じゃあ、俺も父親になるよ」

 瞼を上げると、ノブは私の隣に腰を下ろして、優しい視線をお腹に向けていた。

「……いいの?」


「学生結婚は大変だけど。乗り越えような」


 ノブの言葉を聞いて、思わず涙が溢れた。

 私、こんな女なのに。

 なんで、そんなに優しいの?
< 33 / 60 >

この作品をシェア

pagetop