愛しいひと――く ち な し身代わりの恋(番外編)
 あの人の清らかな微笑み一つに癒されていた。
 だけど、どんなに焦がれても、所詮は片思いだった。

 実らなかった恋は、″家庭″を持ち、子供が産まれれば、色褪せていく。

 卒業前に結婚してしまった俺は、上京したい気持ちを捨てて地元に就職した。


 アユは専業主婦になり、男の子を無事に出産。
 初めに就職した営業職が、自動車保険の会社だったために、昼も夜も、休み関係なく仕事が入ってきた。


 家庭での時間を割かれる事がストレスになると考えた俺は、親戚の車屋に再就職した。

 俺なりに家族を大切にし、何よりも優先した生活を送っていた。
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