愛しいひと――く ち な し身代わりの恋(番外編)
「私は、北地区から候補に上がりました板垣祐介です! 何処かで聞いたことある名前だぞ、と思った方、それは板垣退助であります! 彼は武士であったにもかかわらず庶民派の政治家として――」
選挙演説。
夫の隣で駅付近でチラシを配る″あの人″に出逢ってしまった。
「宜しくお願いいたします!」
俺の事など知らない″あの人″は、議員の妻としてかいがいしく働いていた。
歳は30過ぎたはずなのに、あの頃のまま若々しい。
俺は、透明なネイルが輝くその指先から、ビラを受け取った。
県議会議員選挙に立候補する元弁護士。
板垣祐介――
正義感や知性を売りにした、有能な男。
……これが、あの人の伴侶か。
いかにも人生の勝ち組のような二人は、幸せな生活を送ってるんだろうと思った。
少なくとも、こんな俺よりは、ずっと。
選挙演説。
夫の隣で駅付近でチラシを配る″あの人″に出逢ってしまった。
「宜しくお願いいたします!」
俺の事など知らない″あの人″は、議員の妻としてかいがいしく働いていた。
歳は30過ぎたはずなのに、あの頃のまま若々しい。
俺は、透明なネイルが輝くその指先から、ビラを受け取った。
県議会議員選挙に立候補する元弁護士。
板垣祐介――
正義感や知性を売りにした、有能な男。
……これが、あの人の伴侶か。
いかにも人生の勝ち組のような二人は、幸せな生活を送ってるんだろうと思った。
少なくとも、こんな俺よりは、ずっと。