愛しいひと――く ち な し身代わりの恋(番外編)
 それから二年後。
 アユミの回復は見込まれないまま、俺は、愛も欲もない、″無″の生活を送っていた。

 そろそろ、アユミの実家を手放そうかとか、延命治療をやめてしまおうかとも考えていた矢先だった。


 ″あの人″が、夫の浮気現場を目撃して、動揺のあまり事故を起こした。
 ガードレールにぶつかっただけの一人相撲。
 そのまま逃げる人間もいるだろうし、彼女もまた、そうしようとした。

 それを終始見ていた俺は、直感的に、これが最後の″キッカケ″だと思って声をかけたんだ。


「当て逃げですか?」
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