愛しいひと――く ち な し身代わりの恋(番外編)
 再び梓が寝入っても、俺は眠れずにいた。

 夢ではなく、アユと蓮が俺に″本当の″別れを告げに現れたんじゃないかと思えてきたからだ。

 まだ、太陽が姿を現さない朝の五時。

 見送られるのが苦手な俺は、二人が寝ている間に出発するつもりだ。

そっと布団から抜け出て顔を洗って身支度をした。

 指輪ケースを、梓の鏡台の引き出しに入れて、気がついてくれた時にプロポーズしようと決めた。


 そして。
 俺の温もりを奪い合うように寄り添って眠る母子の姿を見て、小さく言った。


「行ってきます」


 また、くるよ。


 その時も、どうか、変わらず俺を受け入れて。


 ――俺の、永遠に、愛しい人。














終わり
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