🌸さくらのねがい🌸


「ただいま、咲桜。」


「さすがに俺の名前は覚えてた?」


「おかえり、慎ちゃん。」




昨日の俺はわからなかったけど、
名前を言ったら覚えていたみたいで自己紹介をしたときかなり驚いているような顔をしていた。




「ごめんなさい、気づけなくて。
ごめんね、ごめん、咲希ちゃんいないの。」




そして、悲しそうに、苦しそうに、今にでも消えてしまいそうな声で、
下を俯きながら謝る。



見てられなくなって彼女のことを抱きしめた。




「うん、全部知ってる。俺は咲桜のことを探してたんだ。
よかった会えて、やっと会えた、会いたかった。生きててよかった。」





やっと言えた。あの事故のニュースをみてからずっと言いたかったこと。




「慎ちゃん、離して。私、咲希ちゃんじゃないよ…。
それに、みんなに注目されてるんだけど…」



「うん、わかってるよ。昔から、ふたりの違い分かってるから。
ごめん、昔、揶揄ったり、意地悪して。」




俺は昔から咲桜のことが好きで、よく揶揄ったり少し意地悪したり。
でも、それを隠すために咲希のことが好きだということにして。





「慎ちゃん、離して。みんな見てるから。」


「やだ。だって俺、痛〜っ!!」



「咲希じゃなくて咲桜のことが好きだよ。」そう言おうと思ったのに、
辛い時にずっと側にいて支えていたであろう幼馴染であり彼氏の海斗に叩かれた。



その後から俺と目を合わせようとしないでそそくさと逃げた咲桜が俺のことを意識しているみたいで可愛くて、
もっとちょっかいをかけたくなっていた。

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