冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

 恭司はスマホをスーツのポケットにしまった。

「さて、飯作ってやらなきゃだし、早く帰ってやるか」

 そうして、通りを歩きはじめた、その時。

「恭司!」

 背後から声がかかる。
 副社長の難波だ。
 恭司は振り返りざま、呆れたように返事をする。

「難波、なんで俺の後ろをついてきてるんだよ? さっさと車で家に帰れ」

「お前が出張帰りなおかげで、会議が明日に延期になったからさ。せっかく発見できたから、お前と飲みにと思ってたんだ」

「こういう時こそ、嫁さんの元に帰ってやれよ。俺は用事がある」

 難波が嬉々として話しかけてくる。

「やっぱり、お前、結婚するつもりの恋人ができたんだな!」

「……は?」

「これまでのお前だったら、俺が誘ったら飲みについてきてくれたのに! 今日だって、副社長の俺に会わずにさっさと自宅に帰ろうとしてるし!」

「俺は用事があるだけだって言ってるだろう」

 恭司は呆れた調子のまま、自宅マンションに向かって歩を進める。
 難波が後を追ってくる。

「ちぇっ、せっかく、カマかけているのに、つまんねえな、恭司」

「悪かったな。お前みたいに面白おかしいことばっかり考えては生きてないんだ」
 
「まあ、良いや。それで、旧華族のご令嬢との結婚の話はどうなったんだ? 京都で昨日会って来たんだろう?  順一の元婚約者と。財閥のご令嬢だから結婚できたら、御影コーポレーションもますますでかくなりそうだな。俺も着いて行きたかったな」

 恭司がうんざりした表情で返事をする。

「あれは、俺もお前を連れて行けば良かったと思ったよ。他にも人がいたのに、二人きりで食事してるように切り取られただけだ」
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