冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
公園で美桜は新宮順一と対峙していた。
「もしかして美桜ちゃん、僕が本気で会社乗っ取るわけやないって思っるの?」
――会社を潰すなんて、そんなすぐすぐ出来るはずがない。
そんな風に反論したかったけれど……。
美桜はおずおずと伝えた。
「私は……会社がどうやったら倒産するのかとか乗っ取られるのかとかよく分かってません。だから、新宮部長が本気なのか脅しで言っているのかどうかの判断ができかねます。うまい切り返しだってできません」
「はい……?」
順一が首を傾げていた。
「株式会社なら株を過半数乗っ取られたらダメだったはず……ぐらいは分かるんですけど……」
御影コーポレーションはコーポレーションというぐらいだから株式会社だったはずだ。
「新宮グループがすごく大きな財閥だって分かってはいるんですけど……たった一夜で株の買い占めなんかが出来るのかなって、御影コーポレーションはたくさん子会社もあるし……その会社全部の株を半分以上ずつ買うのって大変そうだなって」
こんなことなら、もう少し会社経営の知識なんかをつけておくべきだったと後悔してしまった。
順一はと言えば……呆気に取られていた。
「買い占めるの大変そうって、美桜ちゃん、何なん、恭司兄さんやなくて僕の心配してくれてるん? ハハッ、こんな時なのに緊張感ないな」
美桜は少しだけ安堵した。
(……さっきまでの新宮部長はちょっと怖かったけれど、今の部長は昔の部長みたいで優しい雰囲気な気がする)
今なら昔のように会話をして円満に話を解決できるのではないか――?
そんな期待が少しだけ湧いてくる。
(それと、さっきの新宮部長の笑い方は恭司さんに似ていた気がする)
兄弟で潰し合いだとか――どうにかして避けさせたい。
美桜の心を知ってか知らずか、ひとしきり笑った後、順一が説明してくれた。
「まあ、御影コーポレーションは御影マニュファクチュアを親会社とした大企業に育ったんや。いくつかの子会社を抱えてるわけなんやけど、ここらの子会社がちょっと何かをやらかしたとして、僕がちょいちょいってつついてやったらどないなると思う?」
美桜はしばらく考える。
「子会社は責任追及される?」
「そうや、それで親会社についてはどうや? 親会社には子会社への監督責任があるんやで」
「だったら……」
美桜は結論に至る。
「……親会社も子会社の責任を取らないといけない?」
「その通りや」
順一が満面の笑みを浮かべた。
「ですが、責任をとるぐらいだから不祥事とかがないと……難しいですよね?」
すると、順一が不敵に笑った。
「そうやね。今の理由やと美桜ちゃんの言う通りや。まあ、会社の解散事由はいくつかあるけど……相変わらずとぼけたところも可愛いね」