冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

第5章 兄弟からのプロポーズ2


 順一と別れた後、美桜は恭司のマンションへと帰って、恭司の帰りを待っていた。

(新宮部長、恭司さんに関する忠告はしてきたけれど、私との結婚自体は諦めたのかな?)
 
 ひとまず父親からは連絡が入っていない。
 とりあえずは今日はもう夜だし、これ以上はどうしようもない。
 明日以降に相手の動きから考えた方が良いだろう。

「それにしても……恭司さん、早く帰るって言ってたのにな」

 時計を見れば、もう夜も十時近い。
 食事を作ってやると言ってくれていたけれど、「用事ができた。飯は宅配でも頼んでくれ」と一言だけメールが来ていたのだ。

(お仕事の用事なら仕方がないもの)

 なんとなく一抹の寂しさはあるものの仕方がない。
 恭司にとっては美桜の優先度がそこまで高くはないという証拠なような気もして、それもそれで悲しかった。

(とりえあず明日もお仕事だし、恭司さんに色々とお話するのは明日になるかな? 遅いけど事故に遭ったりしてないよね?)

 チクタクチクタク。
 時計の音がむなしく響く。
 なんだかソワソワしてきた。
 ちょうどその時、ゆっくりと扉が開く。
 恭司だろうかと思ってパッと背後を振り向くと――。

「にゃあ」

 黒猫ミオが姿を現すと、美桜の身体にジャンプしてくる。
 抱っこするとふわふわしているのにサラサラの毛並み。
 腕の中に抱きしめるとズシリと重くて温かい。
 それに伴って美桜の胸の内まで温かかくなってくる。

「ミオちゃん、ありがとう」

 そうして、美桜はミオをぎゅっと強く抱きしめた。
 なんだか落ち込みかけていたけれど、ふわふわの身体を抱きしめていたら、不安がどこかに飛んでいくかのようだ。

「にゃあ?」

 黒猫ミオが美桜のことを心配そうに覗き込んでくる。
 しばらく抱きしめて過ごすけれど……やはり恭司が帰ってこない。
 美桜はポツリと呟いた。

「《《最後》》くらい一緒にご飯を食べたかったな」

 ちょうどその時。
 ガチャリ。
 玄関の音が響く。

(今度こそ恭司さんだ……!)

 美桜は立ち上がると玄関に向かって駆け始めた。
 廊下の灯りを点けながら、玄関先へ向かう。

「恭司さん、お帰りなさい……」

 けれども、目の前に現れた人物を見て、美桜は驚きのあまり小さな悲鳴をあげる。

「きゃっ……!」

「ええっ、梅田美桜ちゃん……!?」

 大声を出したのは――難波副社長だった。
 そうして、彼が肩を貸して支えているのは……。

「恭司さん……!!」

 恭司の姿があったのだ。
 ――どうやら酔いつぶれてしまっているようだ。
 美桜はおずおずと問いかける。

「あ、あのう、どうされたんですか?」

 呆然としていた難波がハッとする。

「え? ああ、恭司を酒に誘ったら想像以上に呑んじまって……部屋まで連れて行くから」

 やけに難波副社長がこちらをジロジロ見てきている気がする。

(何だろう?)

 そこでハッとする。

(恭司さんと私がどういう関係なのかを気にしている……!?)
 
 とはいえ、もう今更隠れようにも時すでに遅しである。
 美桜は背中に冷や汗をかきつつ、難波に恭司を連れて行ってもらうことにする。
 難波が手伝ってくれたおかげで、コートとスーツの上着を脱がせてから、恭司にはベッドに横になってもらった。

「それじゃあ、俺はこれで失礼するよ。恭司を頼んだよ、梅田美桜ちゃん」

「はい。ありがとうございました」
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