冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい


 恭司は自分自身に酷く落胆した。
 犯した過ちを全てを酒のせいにはできない。
 けれども、心のどこかで、こうなって当然だと自分のことを諦めている自分がいた。

(遅かれ早かれこうなってたんだ。俺は初めから……)

 ――美桜のいう「幸せな家庭」の輪の中には入れないのだから。
 そもそも望んではいけなかったのだ。
 歪だったのかもしれないけれど、家族とそれなりに一緒に暮らしてきた者たちの輪の中に入ることなど。

「因果応報、自業自得だな」

 恭司はなんとか自分を保とうとハッと息を吐くと、ベッドから降りて衣服を拾う。
 まるで普段の自分ではないぐらい身体は重い。鉛でも身体に乗せられたかのようだ。
 のろのろと服を拾って袖を通しはじめる。
 シーツはすっかり冷たくなっていたし、今さら追いかけたところでどうしようもない。
 美桜の性格だから律儀に会社に向かっているかもしれないが、顔を合わせて怯えられるのも怖かった。
 
(……こんな状態で仕事してもどうしようもないかもな)

 酒の飲み過ぎで仕事にも支障が出ている。
 朝から会議があったはずなのに――まともに会議で発言できるかも怪しくなってきた。
 その時。
 
 ――ピンポーン。

 インターホンが鳴り響いた。

「美桜……?」

 恭司が顔を上げる。
 そんなはずはない。
 けれども、どこかで期待している自分がいる。
 そうして、遠くで玄関の扉がガチャリと開く音が聞こえた。
 ――合鍵でないと開けられない。
 恭司の胸に希望が宿った。
 もしかしたら戻ってきたのかもしれない。
 あれだけ重かった体の動きが軽くなった。
 そうして、自室の扉が開いた先、立っていたのは……。

「よう、会議は中止にするように幹部たちには通達してきたぞ」

 副社長の難波だった。
 恭司は一気に脱力する。
 
「本当にお前は……間が悪い男だな」

「それ、なんか色んな奴らに言われるな、ははっ」

 恭司の落ち込みなど気にも留めずに、難波が褒めてもいないのに笑っていた。
 こういう人の気分に左右されないところが、子どもの頃から嫌いではないのだが、今の恭司には毒にも薬にもならなかった。
 
(まあ、そんな都合よく帰ってくるわけないよな)

 恭司は自嘲しつつベッドに戻って腰かけると、難波に向かって疑問を口にした。




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