冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
気を取り直して……。
残された美桜は恭司の顔を覗き込んで話しかける。
「恭司さん、お父さんとはお話、あれだけで良かったんですか?」
「ああ。別に良い。特に話も弾まないだろうしな。それにしたって、やっぱり美桜と俺の関係に気付いて余計なことしてきやがったな。いらないものまで俺に押し付けやがって……」
そうして、恭司の両手がそっと美桜の顔を包みこんできた。
そっと彼の顔が近づいてくる。
二人の唇がゆっくりと重なり合った。
しばらく触れるだけの口づけを交わした後、そっと離れる。
次第に口づけが深くなっていく。
「……恭司さんっ……」
「美桜……もっと……口を……」
彼の言うように少しだけ唇を開けたのだけれど……。
途中でキスが止んでしまった。
「恭司さん?」
すると、恭司が少しだけ苦しそうに思いを吐露してきた。
「その……昨晩は本当に悪かった。自棄を起こしてたんだ。全てを酒のせいにはできない」
「いいえ、別に逃げようと思えば逃げれる状態だったけれど、逃げずに恭司さんのそばにいたのは私の意思です」
「美桜……」
恭司の瞳が揺れ動いた。
「ちゃんと謝ってくれたし……それに……ちゃんと迎えに来てくれたので許します」
「お前の手紙のおかげだよ」
彼が胸ポケットから彼女の置手紙を取り出す。
『恭司さん、実家で話をつけてきます。帰りの電車は十七時に駅に到着予定です。最寄りの駅まで迎えに来てくれたら嬉しいです。調子が悪い時は無理したらダメですよ。恭司さんからのプレゼント楽しみにしています』
「手紙、ちょっと子どもっぽかったですかね?」
「いいや。ありがとう。大事にするよ」
「ただのメモ用紙ですよ?」
けれども、どこか満足そうな表情を浮かべながら、恭司は置手紙を再びポケットにしまった。
「それよりも、だ」
恭司が美桜の身体を抱き寄せると――密着する格好になる。
心臓がドキドキ高鳴ってくる。
彼の指が彼女の頬にかかる黒髪を耳にかけてやった。
そうして、恭司が口の端をゆるりと吊り上げながら甘ったるい声音で囁いてくる。
「あんたのせいで、なりたくもない新宮家の当主の父親とやらになったんだ。責任とってくれるよな?」
ドクンドクン。
鼓動が鳴りやまない。
美桜は頬を赤く染めながら返した。
「……恭司さんは言い方が意地悪です」
「初恋だからな。好きな女ほどいじめたくなるんだよ」
しばらく黙って過ごしていたが……。
美桜は恭司の首に抱き着いた。
「おっと」
そうして、美桜がちゅっと恭司の唇を奪った。
「恭司さんこそちゃんと責任とってくださいね」
美桜が伝えると、恭司が極上の笑みを浮かべてくる。
「もちろんだ、美桜」
そうして――二人の影が重なり合ったのだった。