冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
そうして、美桜は譲之助の隣に立っていた父の方へと振り向く。
譲之助からの話を聞いたからだろう。駅に迎えに来た時とは違って、父が自分とどう関わって良いか申し訳なさそうにしている雰囲気を感じた。
「お父さん、今まではお父さんの言いなりで過ごしてきました。だけど、それはその状況で過ごすのが楽だったから。全部を全部、お父さんのせいでこんな風になってしまったなんて思うのは傲慢だと思ってます。……窮屈だと思っていたけれど、外にでて自分が色んなものに守られていたんだって気づけたから」
「美桜、すまなかった」
父の瞳にうっすら涙が滲んでいる気がした。
そうして、譲之助が頭を深々と下げてきた。
「儂では恭司を幸せにはしてやれへんかった。だから、どうか――新宮家のことをお願いや。孫が生まれたら会いに来てな」
そうして、譲之助は環を連れて、美桜の父と共に屋敷の中へと入っていった。
その時。
バラバラと音を立てて巨大な何かがこちらに近づいてくる。
――ヘリだ。
どうやら五大ほど頭上を飛んでいる。
風が吹いて、周囲の皆の髪を揺らした。
「これはいったい……?」
美桜が呆気に取られていると、順一がこちらに向かって近づいてくる。
「なんや星の瞬きが多いと思ったら、恭司兄さんの仕業やろ。子どもの頃から面白いイタズラを思いつく人やったからね」
「恭司さんがどうして? きゃっ……!」
すると。
恭司が美桜の身体を抱き寄せてきた。
「他の奴らが色々うるさかったら、ヘリでお前を連れて逃げて、プライベートジェットで海外にでも飛ぼうと思ってたんだよ」
「え……!?」
美桜は目を白黒させてしまった。
あまりにも規模が大きい話だった。
「高いところ苦手でしたよね?」
「……苦手だが、逃げ出せるから、まあ気にはならない。それよりも……」
どうしてだか、恭司が美桜のことをじっと見ていた。
というよりも、桃色の着物を見てきている気がする。
(何だろう?)
すると。
佳代が順一に話しかけだした。
「御影恭司氏がお前に嫉妬している。おそらくお前と美桜がペアルックだと思っているんだろう。美桜が可哀そうだから、我々は引っ込むぞ」
「はいはい。ペアルックって言い方が古めかしいね。まあええわ。じゃあ、僕たちはひとまずテレビ局と新聞社の皆を買収にでも行こうか」
「……言い方が悪いな。壁に耳あり障子に目ありだ。迂闊な発言には気をつけろ。新宮の坊」
「ほんまにうるさい女やな。僕は傷心なんや。新宮の会社に潜入しとらんで、さっさと医者しとけ。目障りや」
「そういうことろだぞ、美桜にフラれてしまったのは……全く。美桜と義姉妹になるまでは下手に出ておくか」
「なんや、怖気がしたな。なんか言うたか?」
「……別に、私は目的のためなら手段は選ばない。それだけだ」
そうして、二人は屋敷の中へと消えていった。
(やっぱり仲良しなの……?)