冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
その時、美桜の胸が恭司の腕に当たっていることに気付いてしまった。
慌ててパッと離れる。
「違うんです! せっかくだから、恭司さんの気が紛れることをしようかなって! かえって迷惑だったかも、到着まで寝ていた方がマシでしたよね」
美桜が慌てていると、恭司がおもむろに彼女の顎に指を添えてきた。
そうして、顔を上向かされると、唇同士が触れ合いそうな距離になった。
「そうだな。あんたの好意に甘えて、気を紛らわしても良いな」
「え……? んっ……」
美桜は恭司から唇を奪われてしまう。
まるで獣のように彼の口が彼女の唇を何度も食んでくる。
何度も貪られる内に、互いの吐息が絡みあってきた。
離れた頃には、美桜の息はすっかり上がってしまっていた。
「あ……」
「飛行機なんかだと窓際から離れた席でアイマスクして過ごしていることが多いが……こういう気の紛らわせ方も悪くないな」
恭司の表情が愉悦に歪む。
悪戯を思いついた少年のことを想起させる顔だ。
美桜は瞳を潤ませながら抗議する。
「操縦している人に……気付かれちゃいます」
「結構音がうるさいから聴こえないって。ほら、こっちに来いよ」
「え? きゃっ……!」
美桜の両脇に恭司の手が差し入れられる。
長身巨躯の彼から、華奢な美桜は軽々と抱えられてしまった。
まだ着陸態勢に入っていないので、お互いシートベルトはつけていない。
そうして、恭司の膝の上に美桜は横向きに座らされる格好となった。
「美桜……」
「恭司さん、この格好はお行儀が悪いです」
「誰も見てないから良いだろう? こういう時だけ、お姉さん風を吹かせてくるよな」
「む」
美桜は唇を尖らせた。
すると、彼の手が彼女の黒髪を慈しむように撫でてくる。
彼女の頬にかかった髪を彼の指が彼女の耳にかけた。
いつも彼が彼女に口づける前にする合図のような仕草だ。
条件反射で彼との夜の情事のことが勝手に脳裏に浮かんでしまって、美桜の身体がどんどん熱くなってくる。
「その……機内で色々やるのは……やっぱり……」
すると、恭司が意地の悪い笑みを浮かべていた。
「機内で色々って、何を想像したんだよ? 俺はあんたと少し話をしようかと思っただけだったんだがな」
「ええっ!? そ、それは……」
勝手に色々と想像してしまった自分のことが恥ずかしくなってくる。
(うう、恥ずかしいよ)
美桜が両手を頬に添えていると、恭司がそっと顔を寄せてきた。
改めて彼にぎゅっと抱きしめられる。
「この体勢、お、落ち着かないですっ……!」
「俺は落ち着くがな」
「え……?」
彼がそっと溜息を吐いた。
(やっぱり恭司さん、高いところで無理してるんじゃ……)
しばらく口を閉ざしていた恭司がポツポツと語りかける。
「あんたは……高いところが苦手でダサいなって思わないか?」
「思わないですよ? だって、ちゃんと理由があるじゃないですか」
恭司は少年時代に嫌がらせを受けたせいで高くて閉塞した空間が苦手なのだ。
「そうか、なら良かったが……あんたの前ではいつも格好がつかないな」
「恭司さんのそういうところ、私だけが知っているのは、なんだか特別な感じがして嬉しいです。嫌がるどころか、ますます好きになっちゃいます」
美桜は頬を染めながら嬉しそうに話すと、恭司も目の下を赤らめながら呟いた。
「それならまあ……良いけどな」
高いところが苦手な恭司をなだめるように、美桜は体をそっと寄せる。
その時、彼の視線が彼女の胸元にあるのに気づく。
(今度は胸はそんなに当たってないはず……?)