冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
そうして、午後。
美桜は恭司に連れられて外出することになったのだが……。
「その前に連れて行きたい場所がある」
恭司からそう告げられて連れていかれた先は、なんと区役所だった。
(!? !? !?)
美桜の頭は混乱した。
「恭司さん、ご結婚したことないから御存知ないかもしれないんですけど、婚姻届って、夫婦になる人たちの同意だけじゃあ出せないんですよ。証明してくれる人がいるんです!」
「それぐらい知っている」
証人欄を見れば、恭司の父と美桜の父の記載が既に済んでいた。
「いつの間に……!?」
「あとはあんたの記名だけだ。さっさとしろ」
「は、はい」
命じられるがまま署名をしてしまったのだけれど……。
(私、悪い男の人に捕まったりはしてないよね……?)
そんなことを思いながら署名をしたのだった。
婚姻届は無事に処理されて、晴れて我々は夫婦になったのだった。
***
次に連れてこられたのは、マタニティクリニックだった。
ブライダル検診なんかも流行っているので、てっきりそれなのだろうかと思ったのだけれど……。
「妊娠おめでとうございます」
綺麗な女性の産婦人科医の言葉を耳にして、美桜は衝撃を受けていた。
(妊娠……!? そんな、恭司さんと色々あったのは、まだ数日間だったはず……!)
とはいえ、だから最近具合が悪かったりしたのかと納得がいった。
先ほど、入籍したばかりなので、安心ではある。
生理が隔月しかこなかったりすることがあったので、最近になって産婦人科に通い出してピルを貰っていたのだけれど、効果が出る前に妊娠していたようだ。
(まだ実感はわかないけれど……)
恭司もたくさん子どもができること楽しみにしていそうだったし、きっと前向きな反応を返してもらえるだろう。
しかしながら、産婦人科医の次の発言を耳にしてショックを受けることになった。
「妊娠八週ですね」
(八週……!)
医師の診察を終えて、美人の看護師から母子手帳の貰い方なんかの説明を受けたのだけれど……。
「恭司さんになんて説明をしたら……」
恭司としか経験がないのだけれど、恭司と出会うよりも前の週数を告げられてしまった。
美桜は顔面蒼白なまま恭司の待つ車内へと向かった。
「どうした?」
助手席に戻ると運転席に座る恭司から声を掛けられる。
「その……恭司さん、絶対に相手は恭司さんしかあり得ないんですけれど……」
「ああ、妊娠していたのか」
「……!」
美桜は衝撃を受けた。
「恭司さん、ご存じだったんですか!?」
「ああ、そうだったのか。そうかなって。だから連れてきた。あれだけ中に出していたら、健康な女性ならできるだろうさ」
恭司の反応が冷静すぎる。
「そっか、最初っから私と結婚するつもりだったから、そんなに冷静なんですね」
しかしながら、美桜は首を傾げた。
(私が初めての人と結婚したいって話したのは……再会してからじゃなかったっけ?)
それよりも何よりも……。
「だけど、言いづらいことがあるんです」
「どうした?」
「実はですね……ええっと……妊娠週数についてですが……」
美桜が言いづらくてもじもじしていたら、恭司がサラリと告げてくる。
「妊娠週数を俺と出会う前の週数言われて動揺してるとか、そんなところか?」
「どうしてわかったんですか!?」
「あんたのことだから、そんなことだろうって思ってな。最終月経開始日が妊娠0週0日なんだが、案外分かっていない妊婦たちも多いんだよ。……女性しか妊娠しないんだから、それぐらい勉強しておけよ」
美桜は笑顔になった。
「旦那様が恭司さんで良かったです。もし違う人だったら、俺の子じゃないって疑われてたかも」
「そこまで考えてない男も多いんじゃないか? ああ、たまにありはするか。そうだ、いったん公園に向かうぞ」