幽玄の狼
プロローグ
この世は、誰かの犠牲の上に成り立っている。
誰も悪くないなんて、そんな生温い世界はない。
人間は醜い生き物だ。
欲の為に犠牲を伴い、何食わぬ顔をして暮らす、人間の皮を被った化け物もいる。
そんな世の中でわたしは、希望を持つ事も、期待をする事もやめてしまった。
失った時、裏切られた時に傷付くのが怖いから···―――
もう大切な物を、人を失うのは嫌だ。
だからわたしはもう、生きているようで死んでいるのと同じなのだ―――