泡沫の月に幽玄の狼
「もうこの際だからさ、伊神くんと復縁しちゃえば?」
「いやぁ···、でも、今は貴博と付き合ってるし。それに別れてから5年も経つから、もう新しい彼女いる可能性もあるじゃない?」
「んー、その可能性もなくはないけど、でもさ!もし新しい彼女がいたら、同窓会なんて来ないんじゃないかな?伊神くんって、元々同窓会なんて参加するタイプじゃないし。もしかしたら、都子に会うために同窓会参加したのかもよ?」
良いように捉える美貴にわたしは「そんなわけないよ」と言いつつも、一瞬でも"そうであってほしい"と願う自分がいた。
本当はまだ、心の中に絃士への想いが残っている。
しかし、そんな事は口が裂けても貴博の前で言う事は出来ないが―――
「もしそうだったら、同窓会嫌いそうな伊神くんが来た事と辻褄が合うんだけどなぁ〜。···それじゃあさ!試しに芝浦に訊いてみたらいいんじゃない?」
ノリノリで話す美貴の言葉にわたしは「芝浦くん?」と首を傾げる。
確か芝浦くんは、絃士とは幼稚園からの幼馴染だと聞いた事があった。
「芝浦の連絡先知ってる?」
「ううん、知らない」
「それなら、芝浦に連絡してみなよ!連絡先教えるから!」
美貴はそう言ったあとでハッとした表情を浮かべると、わたしに顔を近付け小声でこう言った。
「水島には、バレないようにしなよ」