泡沫の月に幽玄の狼

「―――はい、もしもし」

わたしが電話に出ると、スマートフォンの向こうからは『あ、もしもし?芝浦だけど、鳳月さん?』と言う、ハキハキとした芝浦くんの声が聞こえてきた。

芝浦くんと話すのは高校以来だが、あの頃よりも大人な声質に変わってはいたが、それでも喋り方は変わらないものだなぁと感じた。

「あ、芝浦くん?久しぶり、鳳月です。今日は突然メッセージ送ってごめんね」

わたしがそう言うと、芝浦くんは『久しぶり〜!全然大丈夫だよ!何なら、小坂から話し聞いてて、鳳月さんからまだ連絡こないなぁ〜って待ってたくらいだから!』と言い、明るく笑い飛ばしてくれた。

「そっかぁ、美貴が話してくれてたんだね」
『おう、バッチリ聞いてたよ!それで、聞きたい事って絃士の事だったよな?』

芝浦くんの言葉を聞き、(美貴、そこまで話してたんだ)と苦笑いを浮かべてしまう。

わたしは「うん、そうなの」と答えながら、スマートフォンを握る手に力が籠もってしまっていた。

『おっけー!でも、話すなら電話じゃなくて直接の方がいいよな?電話だと時間限られるだろ?』
「うん、まあ···そうだね」
『それなら、小坂も誘って3人で会うか?』
「いいの?」
『俺は全然おっけーだけど、鳳月は?大丈夫?』
「うん、大丈夫」
『じゃあ、小坂には俺から連絡しとくな!あ、そうだ、これからも鳳月に連絡する時は今日のメッセージに書いてあった時間がいいんだよな?』

そう言って、わたしに気遣ってくれる芝浦くん。
芝浦くんへのメッセージには"連絡は、休憩時間の12時半〜13時半の間か仕事後の18時〜19時の間だと助かります"と書いておいたのだ。

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