泡沫の月に幽玄の狼

『了解!じゃあ、小坂と話して決まったら、また連絡する!もしかしたら、小坂から連絡する可能性もあるけど。その方が安全だろ?』

芝浦くんはそう言って、わたしの状況の理解を示してくれた。

「うん、そうかも」

わたしがそう言いクスッと笑うと、芝浦くんは『鳳月も大変だよなぁ〜、彼氏が水島だと』と溜め息混じりに言った。

『あ、そうそう!俺との電話が終わったら、着信履歴も消せよ?念には念を!だから』
「うん、そうさせてもらうね」
『俺はもう鳳月の連絡先登録したから大丈夫だし!』
「何か···色々とごめんね」

わたしがそう謝ると、芝浦くんは『へ?何が?』と言い、キョトンとする芝浦くんの表情が思い浮かんだ。

「わたしの我が儘で色々迷惑かけちゃってるから···」
『えっ、全然迷惑だなんて思ってないよ?それに、俺も鳳月には話したいことあったし』
「えっ?そうなの?」
『うん、だから気にすんな!じゃあ、そろそろ時間ヤバいよな?』
「あ、そうだね···」

わたしはそう言いながら、すぐ目の前に見えている自宅マンションを見上げた。

『また連絡する!じゃあな!』
「うん、じゃあね」

そう言って芝浦くんとの電話を終えたわたしは、芝浦くんが言った通りにすぐに芝浦くんからの着信履歴を削除した。

本当なら、こんな事はしたくない。

(こんな事しなくてもいい環境だったらいいのに···)

わたしはそう思いながらスマートフォンをトートバッグに戻し、帰宅したのだった。

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