誰も愛さない天才王の覚醒 〜俺が新・王? 両親が命懸けで守ってくれた国なので、十人の最強の寵妃と完璧に経営してみせます〜

エピソード64:裏切りの足音

シャディアの機転によりギルバート派の一端が崩れたものの、敵の侵食は確実に側室たちの「弱点」を突いていた。

標的となったのは、第5側室オリヴィア・スタンフォード(『白鳥宮』)。

保守派貴族の令嬢であり、気弱でおどおどした性格の彼女のもとに、実家であるスタンフォード伯爵家から極密の脅迫状が届いたのだ。



『ギルバート派が大軍を動かしている。我が家が生き残るためには、アルフレッドを排除するしかない。オリヴィア、王の夜の訪問の際、この無色無臭の毒を杯に混ぜよ。拒めば、貴女の母と幼い弟の命はない』



「そんな……そんなこと、できません……!」

自室で文を握りしめ、オリヴィアはボロボロと涙をこぼした。

アルフレッドは自分を「愛する」ことはしてくれなかった。

しかし、彼女の実家が困窮した際には、完璧な法の手続きを用いて救済してくれた。

冷徹に見えて、誰よりも公正で嘘のない王なのだ。

(王様を毒殺するなんてできない……! でも、私が従わなければ、実家の母様たちが殺されてしまう……)

震える手の中に握られた小さな薬瓶。


『白鳥宮』に忍び寄る裏切りの影に、オリヴィアの心は砕け散りそうになっていた。
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