きみが光るたび、淡くなる
「うるやん・・・ありがとぉ。俺ら、今さいこぉに幸せだよぉ」
「絹・・・なんかさ、ふにゃふにゃしてない?」
「ふぇ?そんなことぉ、ない、よ・・・ねっ」
・・・いつもドライな絹が可愛くなっている。
なんか凍土100%というか、普段の絹からとげを抜いたような感じだ。
「・・・でさ、冬貴とこたは生きてる?」
重大発表をしたのに、しかもいつも反応が大きいのに、今回は無反応の2人の方を向くと。
「ねーそぉだよねぇこたぁ」
「んぅ・・・」
小声でこたになにか囁く、うつろな目をした冬貴と、そんな冬貴に肩を預けて眠るこた。
・・・やばい気がしてきた。
お酒でテンションがおかしい逢。
ふにゃふにゃになっちゃった絹。
意識があるのか分からない冬貴。
眠ってしまった一番平和なこた。
そして月葵と光はというと・・・。
「ね!月葵のこと応援してるからさぁ!」
「もー光さぁん。自信なくなってきたよぉ」
「だいじょーぶ!月葵は魅力的でさぁ、きっとタイプだよぉ!」
豪快に缶ビールを飲みながら、なにやら結託している。
まずい・・・こんなにも全員がアルコールに弱いとは。
正常な人間がいない子の空間にいては駄目な気がする。
そんな本能に従った私は、パーティー会場である『なめこの味噌汁room』を出た。

私は酔いにくい体質だが、少しばかり火照っていた顔に当たる夜風は気持ちいいな・・・。
「しかし、どうしたものか」
あの部屋に戻るのは、あまりにも危険(リスク)がありすぎる。
自分の部屋に戻って寝てもいいが、冬貴とこた以外は、まだしっかりと意識があるし。
あの6人を残すには心配しかないな・・・。
「なにが『どうしたものか』なのぉ?」
「うわっ・・・」
腕を組んで悩んでいると、ふいに耳元で声がした。
「つ、月葵?抜けてきたのか、驚いた・・・かなり酔っているな」
そこに立っていたのは月葵で、さっきまで逢にツッコんでいたのに、すっかりニコニコと酔ってしまっている。
「んふ、雨瑠ちゃんと2人っきりって久しぶりだなぁ」
「あ、あぁ・・・そうだな」
能天気そうに笑う月葵に、一瞬どきりとした。
いくら思いを捨てたとて、なにも感じないわけではない。
アンクレットも外せていないわけだし・・・。
「俺ね、ずぅーっと雨瑠ちゃんと2人で話したかったんだぁ」
「ん?なにか相談手もあったのか?言ってくれれば・・・」
「俺、雨瑠ちゃんと過ごす時間が一番好き」
こちらの心情など知りもしない様子で月葵は、柵に肘をのせて空を見上げる。
「俺さぁ・・・」
「うん」
夜空を見上げるその姿は、輝く星と相まってドラマのワンシーンみたいだ。
「雨瑠ちゃんに伝えたいことがあって」
・・・あれ、嫌な予感がするぞ。
「初めて会った時からさぁ・・・、」
「なぁ月葵」
これ以上、言わせちゃだめだ。
流されちゃいけない。なにより、相手は酔っている。
「月葵はなんでアイドルをしてるんだ?」
強く月葵の言葉を遮ってそう訊く。
「・・・スカウトされて、事務所が組んだグループで今のメンバーと出会って・・・大好きなメンバーと居れる理由が、アイドルでいることだったから」
遮られたことに嫌な顔一つせず、月葵は答えた。ハッキリと。
アイドルでいたいんじゃなくて、このメンバーと居たいからだ、と。
「それでもいいと思うよ。でも、LUXEONにはファンがいる。応援してくれるファンに、誠実に向き合うべきだとは思わないか」
だから、駄目なんだ。お互いがそんなことをしては。
月葵なら、まだ若気の至りで済ませられるものだから。
「・・・うん。そうだね、俺、戻るよ」
夜風に当たって酔いがさめたのか、月葵はくるりと身をひるがえして『なめこの味噌汁room』に戻っていった。

・・・私も、もう少ししたら戻って全員を部屋に帰すか。
光は・・・『なめこの味噌汁room』のソファーで寝かせよう。
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