初恋が君に届くまで
思わぬ再会
「初めまして、ネクサス・インテグレーション株式会社の綾瀬(あやせ)と申します」

差し出された名刺を、つむぎは内心ギクリとしながら受け取る。

(初めましてじゃないよ。この人、綾瀬くんだよね?)

チラリと上目遣いで確かめてから、慌ててまた視線を落とした。

(やっぱりそうだ。青嵐(せいらん)高校のスクールカーストで1軍のエースだった、あの綾瀬くん)

かっこよくて少し尖っていて、抜群のオーラとカリスマ性のあった同級生と、まさかこんなところで再会するとは……。

けれど向こうは気づいていないはず。
なぜなら、つむぎはいわゆる陰キャの部類にいたし、同じクラスになったこともなかったから。

おまけに通っていた高校は、1学年500人ほどのマンモス校。

綾瀬(じょう)を知らない生徒はいなくとも、渡辺つむぎは知っている生徒はごくわずかだっただろう。

「初めまして。株式会社フィラートのウェブデザイナー、渡辺と申します」

つむぎも名刺を差し出しつつ、初対面を装う。

綾瀬丈はやはり気づいていないようで、ごく普通に名刺交換を終えた。

「綾瀬さん、どうぞお掛けください」

つむぎの隣に立つ課長の植木(うえき)が促し、丈は応接室のソファに腰を下ろす。

植木が丈の向かい側に座ってから、つむぎは二人の前にコーヒーを運んだ。
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