初恋が君に届くまで
片思い
自分のデスクに戻って仕事をこなし、昼休みになるとつむぎは友美と一緒に社員食堂に行く。
チラリと丈を振り返ると、どうやら丈は植木と一緒に食事をするらしかった。
すっかり打ち解けているようで安心する。
「なんか久しぶりだね、つむぎとこうやってゆっくり話すの」
「そう言えばそうかも」
「ね、その後なにかあった? 綾瀬さんと」
テーブルに着くなり身を乗り出して訊いてくる友美に「なにかって?」と訊き返す。
「話したの? 高校の同級生だってこと」
「話してないよ。向こうは全く気づいてないみたいだし。あ、でも先週の金曜日に綾瀬くんとバーに行ったの」
そうなの!?と、友美は驚いたように顔を上げた。
「うん。どうやらそのバーを経由してうちのサイトにたどり着くお客様がいるからって、どんな所なのか偵察にね」
「へえ。綾瀬さん、そんなことまでわかるんだ。それでどうだったの?」
「すごくすてきなバーだったよ。フィラートで扱ってる食器をたくさん揃えてくれててね。綾瀬くんの助言で、私がフィラートの社員だってマスターに伝えて挨拶したの。そこから今度は営業の岡田さんに話をつないで、3人で改めて訪問しようって」
そうなんだ、と友美は感心したように言う。
「すごいね、綾瀬さんって。うちに来てまだ1週間なのに、もうそんな動きがあるなんて」
「そっか、まだ1週間なんだね。うん、ほんとにすごいよ。スピーディーで無駄がないというか、大切なポイントを次々見つける勘のよさというか。仕事ができる人ってああいう人を言うんだね」
すると友美がニヤリと笑う。
「惚れ直した?」
「ええ!? どういう意味よ、惚れ直すって。惚れてもいないのに」
「じゃあ、惚れちゃった?」
「もう、友ちゃん。そんなんじゃないから」
「どうだか。だってなんでもないならさらっと話すと思うんだよね、高校の同級生だったこと。敢えて黙ってるのは綾瀬さんを意識してるってことじゃない?」
どういうこと?と、つむぎは眉根を寄せた。
「私が黙ってるのは、綾瀬くんが絶対私のことなんて覚えてないからだよ。話せば『こんな子いたっけ?』って気を遣わせちゃうでしょ?」
「じゃあ綾瀬さんを狙ってる女性社員が、彼に言い寄ってもいいってこと?」
「もちろん。私はなんにも関係ないよ」
「そうなんだ。実は数人から既に訊かれたんだよね。つむぎに綾瀬さんを紹介してもらえないかなって」
そうなの?と、つむぎは驚く。
「せめて彼女がいるかどうかだけでも訊いてほしいって。どう? 綾瀬さん、今フリー?」
「前にも言ったけどわかんないって。モテるから彼女いるんじゃない?」
「でも金曜日、つむぎと二人でバーに行ったんでしょ? 彼女いるならそんなことしないんじゃない?」
「それは仕事だったからだよ」
「ふーん、どうだろな」
いまいち納得していない様子の友美に、つむぎは提案してみた。
「それなら今度、友ちゃんが綾瀬くんを食事に誘ってみたら? そこで訊いてみたらいいんじゃない?」
「えー、バッサリ断られたらどうしよう。じゃあつむぎと3人でランチしようよ。それなら断られないよ」
「どうかな? 仕事絡みじゃないとランチしても意味がないって言われるかも」
「そんな冷たいこと言う人なの? 綾瀬さんって」
つむぎは軽く口にしてしまったことを後悔する。
友美に誤解されてはいけない。
「ううん、違う。そんな人じゃない」
「でしょ? じゃあ、とにかく1回誘ってみて。それでダメなら諦めるから。ね? お願い!」
両手を合わせて懇願され、つむぎは仕方なく頷いた。
チラリと丈を振り返ると、どうやら丈は植木と一緒に食事をするらしかった。
すっかり打ち解けているようで安心する。
「なんか久しぶりだね、つむぎとこうやってゆっくり話すの」
「そう言えばそうかも」
「ね、その後なにかあった? 綾瀬さんと」
テーブルに着くなり身を乗り出して訊いてくる友美に「なにかって?」と訊き返す。
「話したの? 高校の同級生だってこと」
「話してないよ。向こうは全く気づいてないみたいだし。あ、でも先週の金曜日に綾瀬くんとバーに行ったの」
そうなの!?と、友美は驚いたように顔を上げた。
「うん。どうやらそのバーを経由してうちのサイトにたどり着くお客様がいるからって、どんな所なのか偵察にね」
「へえ。綾瀬さん、そんなことまでわかるんだ。それでどうだったの?」
「すごくすてきなバーだったよ。フィラートで扱ってる食器をたくさん揃えてくれててね。綾瀬くんの助言で、私がフィラートの社員だってマスターに伝えて挨拶したの。そこから今度は営業の岡田さんに話をつないで、3人で改めて訪問しようって」
そうなんだ、と友美は感心したように言う。
「すごいね、綾瀬さんって。うちに来てまだ1週間なのに、もうそんな動きがあるなんて」
「そっか、まだ1週間なんだね。うん、ほんとにすごいよ。スピーディーで無駄がないというか、大切なポイントを次々見つける勘のよさというか。仕事ができる人ってああいう人を言うんだね」
すると友美がニヤリと笑う。
「惚れ直した?」
「ええ!? どういう意味よ、惚れ直すって。惚れてもいないのに」
「じゃあ、惚れちゃった?」
「もう、友ちゃん。そんなんじゃないから」
「どうだか。だってなんでもないならさらっと話すと思うんだよね、高校の同級生だったこと。敢えて黙ってるのは綾瀬さんを意識してるってことじゃない?」
どういうこと?と、つむぎは眉根を寄せた。
「私が黙ってるのは、綾瀬くんが絶対私のことなんて覚えてないからだよ。話せば『こんな子いたっけ?』って気を遣わせちゃうでしょ?」
「じゃあ綾瀬さんを狙ってる女性社員が、彼に言い寄ってもいいってこと?」
「もちろん。私はなんにも関係ないよ」
「そうなんだ。実は数人から既に訊かれたんだよね。つむぎに綾瀬さんを紹介してもらえないかなって」
そうなの?と、つむぎは驚く。
「せめて彼女がいるかどうかだけでも訊いてほしいって。どう? 綾瀬さん、今フリー?」
「前にも言ったけどわかんないって。モテるから彼女いるんじゃない?」
「でも金曜日、つむぎと二人でバーに行ったんでしょ? 彼女いるならそんなことしないんじゃない?」
「それは仕事だったからだよ」
「ふーん、どうだろな」
いまいち納得していない様子の友美に、つむぎは提案してみた。
「それなら今度、友ちゃんが綾瀬くんを食事に誘ってみたら? そこで訊いてみたらいいんじゃない?」
「えー、バッサリ断られたらどうしよう。じゃあつむぎと3人でランチしようよ。それなら断られないよ」
「どうかな? 仕事絡みじゃないとランチしても意味がないって言われるかも」
「そんな冷たいこと言う人なの? 綾瀬さんって」
つむぎは軽く口にしてしまったことを後悔する。
友美に誤解されてはいけない。
「ううん、違う。そんな人じゃない」
「でしょ? じゃあ、とにかく1回誘ってみて。それでダメなら諦めるから。ね? お願い!」
両手を合わせて懇願され、つむぎは仕方なく頷いた。