初恋が君に届くまで
「まずフィラートのサイトは、ログインの方法から大きく変える」

会議室で向かい合って座ると、丈は早速つむぎにシステムとデザインの資料を見せた。

「これまでの流れでは最初に新規登録をしてから、IDとパスワードを設定して購入ページに進む。この部分のハードルを下げ、既存のアカウントと連携させるんだ。自分の好みに合わせて、SNSやメッセージアプリなどを選び、そのアカウントでフィラートのサイトにもログインできるようにする。そうすることで、IDやパスワードを忘れて買い物を断念していた人や、手続きが面倒で躊躇していた人も取りこぼさず、スムーズに購入まで導ける」
「なるほど、かしこまりました。そうするとウェブデザインもひと目でわかりやすく、そのシステムが伝わるようにしなければ。お馴染みのタップアイコンを並べればいいでしょうか?」
「そうだな。主要なSNSは網羅できるよう、紐付けの手続きを進めていく。ウェブデザインに関しては、君が主導権を握ってくれ。フィラートらしさを失くさないように」
「はい、ありがとうございます」

つむぎは頷くと、早速タブレットを操作してラフなデザインを描き始めた。

「タップアイコンを埋め込むのは、これくらいのスペースで大丈夫ですか?」
「んー、もう少し上に配置した方がいい。画面をスクロールしなくても、パッと目に入りやすいように」
「確かにそうですね、かしこまりました」

真剣な眼差しのつむぎに、丈はつい見惚れてしまう。

普段は口数少なくおとなしいつむぎだが、仕事となるとこんなふうに会話が増える。

自分の話にも、じっと耳を傾けてくれる。

それだけで丈は嬉しくなった。

いつか仕事の場ではなくても、こんなふうに会話ができたら。

真っ直ぐに自分を見て、笑ってくれたら。

それはどんなに幸せなことだろうと、丈は密かに夢に描いた。
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