初恋が君に届くまで
午後の業務が始まる時間になると、つむぎは丈をエントランスまで見送る。

「綾瀬さん、本日はご足労いただきありがとうございました」
「こちらこそ。次回の定期訪問までになにかありましたら、いつでもご連絡ください」
「かしこまりました」

そう答えてから、つむぎは戸惑うように視線を落とす。

「どうかしましたか?」
「いえ、あの。少しお訊きしたくて」
「なんでもどうぞ」
「はい。えっと、綾瀬さんは私が高校の同級生だといつ気づいたのですか? それに、なぜそのことを最後まで黙っていたのですか?」

丈は一瞬真顔に戻ってから、嬉しそうな笑みを浮かべた。

「へえ、会えない間に私のことを考えてくれていたんですね」
「いえ、そういう訳では。単なる疑問です」
「ではそのお返事は、改めて今夜お伝えしましょう。19時にバー・ルーチェでお待ちしています。それでは」
「え、ええ!?」

戸惑うつむぎをよそに、丈は爽やかな笑顔を残して去って行った。
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