初恋が君に届くまで
「そうなんだ、岡田さんと山崎さんが?」

その日の夜、帰宅したつむぎは丈に電話をかけていた。

「うん、つい最近つき合い始めたんだって」
「じゃあ俺達と同じか。お似合いだな、あの二人」
「綾瀬くんもそう思う? にぎやかで楽しそうよね。それで今度綾瀬くんがフィラートに定期訪問する日に、4人で一緒にランチしましょうって、友ちゃんが」
「いいな、楽しみにしてるよ」
「私も」

笑顔でそう言ったあと、沈黙が広がる。

耳を澄ませていると「つむぎ?」と優しく呼ばれた。

「はい」
「……会いたい」
「え?」

少しかすれた丈の声に、つむぎはドキッとする。

「昨日まで一緒にいたのに?」
「会いたいんだから仕方ないだろ。今から迎えに行く」
「ええ!? ホントに?」
「ああ。今玄関を出た」

はいー?とつむぎは呆れつつもソワソワし始めた。

「待って、えっと、ここに来るの?」
「車で迎えに行く。俺の部屋で夕食一緒に食べよう。そのあとちゃんとつむぎの部屋まで送り届けるから。それならいいだろ?」
「でも、そんな。それだと綾瀬くんが大変でしょう?」
「そうだな、大変だ。つむぎが泊まってくれたら助かるんだけどな、そんなこと頼んだら強引だって思われそうだし」

つむぎは唇を尖らせてボソッと言う。

「……ズルいよ、綾瀬くん」
「ん? なにか言ったか?」
「そんなこと言われたら、泊まるしかなくなる」
「え、泊まってくれるのか? 優しいな、つむぎ」
「もう! じゃあ急いで荷物準備するね」
「ああ、俺もすぐに向かうから」

電話を切ると「まったくもう……」と呟きながら着替えを用意する。

けれどいつの間にか頬が緩んでしまっていた。
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