初恋が君に届くまで
「わあ、夜景がきれいだね」

部屋の大きな窓から、月に照らされたきらめく海が見え、つむぎはしばし佇んで見とれる。

丈もつむぎの隣に並び、つむぎの肩をそっと抱き寄せた。

「なんだか夢みたい。こんなにすてきなクリスマスイブは初めて」

そう言って笑いかけてくるつむぎに、丈も優しく微笑む。

「つむぎ」
「なあに?」
「来年のクリスマスも一緒にいてくれる?」
つむぎは「もちろん」と頷いた。

「じゃあその次も、そのまた次のクリスマスも」
「私の方こそ、綾瀬くんと一緒に過ごしたい。ずっとそばにいてもいいですか?」
「ああ、これからもずっと俺のそばにいろ。約束な」
「うん、約束する」

丈が左手の小指を差し出すと、つむぎも同じように差し出した。

指を絡めて微笑み合ってから、丈はその手を引いて、そっとつむぎの指に口づける。

絡めた指を解いた瞬間、つむぎは「え……」と言葉を失くした。

「こ、これ……?」

つむぎの左手薬指には、輝く1等星のようなダイヤモンドの指輪がはめられていた。

丈はつむぎの左手を下からすくい、「つむぎ」と優しく呼びかける。

「高校生の時、俺はつむぎに恋をした。純粋に、ただ真っ直ぐにつむぎを好きになった。だけどその頃の俺は告白する勇気もなければ、つむぎを幸せにする覚悟も持てずにいた。ただ淡い恋心だけを抱え、なにも言えずに卒業してしまった。そこから月日が経つにつれて、後悔が募ったよ。つむぎは俺の心の中で1番透き通った存在だったんだ。つむぎを好きでいれば、俺は自分に真っ直ぐ正直でいられる。つむぎが俺の心をきれいにしてくれる気がした。偶然再会できた今、もう二度と手放さない。誰よりもつむぎのそばでつむぎの笑顔を守り、誰よりもつむぎを幸せにする。だからつむぎ、俺と結婚してほしい」

つむぎは信じられないとばかりに目を見開いた。

その瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。

「綾瀬くん、あの」

丈は手を伸ばしてつむぎの涙を指先で拭いながら、つむぎの言葉を待った。

「あの、あのね。綾瀬くんが高校生の時から私を好きだったって言われて、ずっと信じられなかったの。だけど綾瀬くんは、何度も諦めずに伝えてくれた。私をとても大切にしてくれて、優しく抱きしめてくれて、少しずつ私の心を解きほぐしてくれたの。あなたの温かさと頼もしさに守られて、私はあなたを大好きになりました。こんなにもすてきな人と一緒にいられる幸せを知ってしまったの。許されるなら、この先の人生もずっとあなたと一緒にいたい。綾瀬くん、私をそばにいさせてくれますか?」

丈はこの上ない幸せを感じながら頷いた。

「もちろんだ。ずっと一緒にいよう、つむぎ」
「はい」

涙を溜めた瞳で見つめてくるつむぎが愛おしく、丈は両腕で抱きしめる。

「ありがとう、つむぎ。必ず幸せにしてみせる」
「うん。ありがとう、綾瀬くん」

微笑み合うとゆっくり顔を寄せ、二人は約束のキスを交わした。
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