初恋が君に届くまで
その日の夜は丈のマンションで、二人でチキンやオードブル、ケーキを味わう。

つむぎは改めて丈へのクリスマスプレゼントを差し出した。

「綾瀬くん、メリークリスマス」
「ありがとう、つむぎ。なんだろう」
「開けてみて」

ラッピングされた薄い長方形の箱には、イタリア製のカシミアのマフラーを入れてあった。

「おお、手触りいいな。色もすごくきれいな深みのあるブルーで。もしかして、フィラート?」
「そうなの、えへへ」
「さすがだな。本当にいい品を揃えてる。ありがとう、つむぎ。大切に使うよ」
「うん」

笑顔のつむぎに丈も頬を緩め、「つむぎへは寝室に用意してあるんだ。あとで見てみて」と言う。

「え? もうこんなに素敵な指輪をもらったのに?」
「それはクリスマスプレゼントとは違うからな。それにそこまでのものじゃないよ。まあ、お楽しみに」

そう言われては気になって仕方がない。

つむぎは食事の後片付けを済ませ、早速ゲストルームに行ってみた。

「あれ? どこにあるんだろう。綾瀬くん、ひょっとして隠してある?」

ガサゴソとクローゼットの中を探していると、丈がやって来て笑った。

「つむぎ、俺達の寝室はこっちじゃないだろ?」
「え? じゃあ綾瀬くんのお部屋なの?」
「俺達の部屋な。見ておいで」
「うん!」

寝室に行き、ワクワクしながらドアを開けた途端、よい香りがふわりと漂ってきて思わず手を止める。

(え、これって……)

照明のスイッチを入れてパッと部屋が明るくなると、鮮やかな真っ赤なバラの花束が目に飛び込んできた。

「なんてきれい……」

ベッドサイドに飾られた深紅の花束は、みたこともないほどゴージャスだった。

「つむぎと永遠に一緒にいられるように。108本のバラだよ」
「そうなのね、すてき」

丈はつむぎの肩を抱き寄せて、そっとキスをする。

「来年も、再来年も、クリスマスにはつむぎに108本のバラを贈る。俺の気持ちを伝え続けたいから」
「ありがとう、綾瀬くん。とっても嬉しい」

その夜つむぎは、たくさんのバラの香りと丈の愛に包まれ、涙がこみ上げるほどの幸せを感じながら丈の腕に抱かれていた。
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