「俺、こんなことするのお前だけだから」って言う生意気な後輩くんに、不覚にもときめいてしまいました。
Episode three これって、絶対に……好きになられてる……だろ……。
雨の降る放課後だった。
他の委員は全員帰り、図書室には俺と武琉の二人だけ。
窓を叩く雨音を聞きながら、俺は古い文庫本のページに挟まれていた、一枚の栞を見つめていた。
中学の卒業式の日、翠先輩から「これ、あげる」とぶっきらぼうに渡された、色褪せた青い栞。
もう二度と会えない。
あの冷ややかな瞳に二度と映ることはない。
分かっているのに、どうしても捨てられない過去の残骸。
ぽつり、と図書室の床に影が落ちた。
ハッと顔を上げると、いつの間にか目の前に武琉が立っていた。
その目は、今まで見たこともないほど暗く、嫉妬に燃えていた。
「……それ、誰に貰ったんですか」
「千歳には関係ないだろ。片付けに戻れ」
逃げるように立ち上がろうとした俺の腕を、武琉が強い力で掴んだ。
そのまま背後の本棚へと押し込まれる。
背中にズラリと並んだ本の感触と、目の前を塞ぐ武琉の大きな身体。
彼は俺の逃げ道を塞ぐように、両手を本棚にドン、とついた。
いわゆる、壁ドンというやつだ。
「離せ、千歳!」
「嫌です。……先輩、まだその人のこと考えてるんですか? 俺じゃ、不満ですか?」
降ってくる声が、熱い。
いつも「先輩!」と呼んでくる可愛い後輩の姿はどこにもない。
そこにいるのは、圧倒的な熱量を持った一人の「男」だった。
顎をクイと持ち上げられ、強制的に視線を合わされる。
武琉の顔が、信じられない近さまで迫ってきた。心臓が壊れたように脈打つ。
「俺、こんなことするのお前だけだから」
耳元で、低く、掠れた声が囁く。
「……だから、ちゃんと俺を見て」
降ってきたキスは、図書室の雨音をすべて掻き消すほどに激しくて、甘かった。
過去の切ない恋なんて一瞬で吹き飛ぶほど、俺の身体は、生意気な後輩の熱に支配されていく。
これって、絶対に――好きになられてる……どころか、俺、完全に捕まってる。
他の委員は全員帰り、図書室には俺と武琉の二人だけ。
窓を叩く雨音を聞きながら、俺は古い文庫本のページに挟まれていた、一枚の栞を見つめていた。
中学の卒業式の日、翠先輩から「これ、あげる」とぶっきらぼうに渡された、色褪せた青い栞。
もう二度と会えない。
あの冷ややかな瞳に二度と映ることはない。
分かっているのに、どうしても捨てられない過去の残骸。
ぽつり、と図書室の床に影が落ちた。
ハッと顔を上げると、いつの間にか目の前に武琉が立っていた。
その目は、今まで見たこともないほど暗く、嫉妬に燃えていた。
「……それ、誰に貰ったんですか」
「千歳には関係ないだろ。片付けに戻れ」
逃げるように立ち上がろうとした俺の腕を、武琉が強い力で掴んだ。
そのまま背後の本棚へと押し込まれる。
背中にズラリと並んだ本の感触と、目の前を塞ぐ武琉の大きな身体。
彼は俺の逃げ道を塞ぐように、両手を本棚にドン、とついた。
いわゆる、壁ドンというやつだ。
「離せ、千歳!」
「嫌です。……先輩、まだその人のこと考えてるんですか? 俺じゃ、不満ですか?」
降ってくる声が、熱い。
いつも「先輩!」と呼んでくる可愛い後輩の姿はどこにもない。
そこにいるのは、圧倒的な熱量を持った一人の「男」だった。
顎をクイと持ち上げられ、強制的に視線を合わされる。
武琉の顔が、信じられない近さまで迫ってきた。心臓が壊れたように脈打つ。
「俺、こんなことするのお前だけだから」
耳元で、低く、掠れた声が囁く。
「……だから、ちゃんと俺を見て」
降ってきたキスは、図書室の雨音をすべて掻き消すほどに激しくて、甘かった。
過去の切ない恋なんて一瞬で吹き飛ぶほど、俺の身体は、生意気な後輩の熱に支配されていく。
これって、絶対に――好きになられてる……どころか、俺、完全に捕まってる。