返事も溺愛もキスのあとで
プロローグ
──「舞川雛子さん、俺と結婚してくれないか」
青天の霹靂とはこういうことを言うのではないだろうか。
訳あって直属の上司の自宅にお邪魔し、二人でダイニングテーブルに向かい合っていた私は口をぽかんと開けた。
「あの……雪瀬室長、もう一度お願いします。なんておっしゃいましたか?」
「いきなり結婚だなんて、言い方が直球すぎたな」
「け……結婚?!」
「悪かった。こんなこと初めてで少し焦りすぎたんだ」
雪瀬鷹哉さん、私の直属の上司だ。芸能人顔負けの誰もが振り返る端正な容姿に、羨望の眼差しを向けている多数の女子社員がいることを、きっと彼は知らないだろう。
さらにはシゴデキだが、クールで仕事以外のことに対しては雪のように冷たく塩対応。
そんな彼に思い切ってアプローチをして、見事玉砕したという噂なら、いくつも聞いたことがある。
その彼が惨めに恋人に捨てられ馬鹿にされ打ちひしがれていた私に、いきなりプロポーズする理由など、一ミリも思い浮かばない。
──この時の私は知らなかったのだ。
彼の中には、私が溺れてしまうくらいの深い愛が秘められていたことに。
青天の霹靂とはこういうことを言うのではないだろうか。
訳あって直属の上司の自宅にお邪魔し、二人でダイニングテーブルに向かい合っていた私は口をぽかんと開けた。
「あの……雪瀬室長、もう一度お願いします。なんておっしゃいましたか?」
「いきなり結婚だなんて、言い方が直球すぎたな」
「け……結婚?!」
「悪かった。こんなこと初めてで少し焦りすぎたんだ」
雪瀬鷹哉さん、私の直属の上司だ。芸能人顔負けの誰もが振り返る端正な容姿に、羨望の眼差しを向けている多数の女子社員がいることを、きっと彼は知らないだろう。
さらにはシゴデキだが、クールで仕事以外のことに対しては雪のように冷たく塩対応。
そんな彼に思い切ってアプローチをして、見事玉砕したという噂なら、いくつも聞いたことがある。
その彼が惨めに恋人に捨てられ馬鹿にされ打ちひしがれていた私に、いきなりプロポーズする理由など、一ミリも思い浮かばない。
──この時の私は知らなかったのだ。
彼の中には、私が溺れてしまうくらいの深い愛が秘められていたことに。