返事も溺愛もキスのあとで
「だからこんなことするの嫌だって言ったんだよぉ。匿名アカだっていつバレるか……」

「馬鹿! 守っ、余計なこと言わないで!」

「うわーん。由羅~どうしよう~、僕捕まりたくないよ~」

「黙れって言ってんの!」

姫原さんが守のつま先をパンプスで踏みつけるが、守の口は止まらない。

「ごめんっ、雛子。由羅に言われてちょっと魔が差したんだ。謝るから、お金も用意する。示談してくれよ」

「ふざけないで! 何自分だけ助かろうとしてんのよ」

「──いい加減にしろ」

鷹哉さんの地を這うような低い声色に、二人の顔が一気に引きつり、口籠る。

「雛子を陥れ、傷つけた罪は重い。俺はお前らを許さない。刑務所で後悔しろ」

「え……刑務所……? あたしが?」

ようやくことの重大性に気づいたのか、姫原さんは顔面蒼白だ。

「そんな……ママぁ……」

「嘘、でしょ……」

「そろそろ警察が着く頃だ。二人を警備室へ」

彼の言葉にSP達が嫌がる二人を事務所の外へと連れ出す。

「雪瀬、あとの細かいことはワシにまかせておけ」

「ありがとうございます」

「会長、私のせいでお手間をお掛けしますが、宜しくお願い致します」

深く頭を下げれば、会長がこちらに歩み寄り目に皺を寄せて笑う。

「気にせんでいい。もうわしの孫娘じゃからな」

周りに聞こえない声でそう言われて、優しい眼差しを向けられれば涙が滲みそうになるが、ぐっと堪えて私はもう一度深く頭を下げた。
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