金髪悪魔の正体
一体なぜこんな事になっているのかというと
「あのー、私『BANANA BOATプロダクション』のマネージャーアルバイトをしている葵と申します」
「・・・」
「実は今日の夕方ごろから、弊社のガールズバンドが野外フェスに出場する予定なんですが、メンバーのサックスが壊れてしまいまして…。キイが変な風に曲がってしまったんです!」
「・・・」
「それで弊社で同じくマネージャーをしている小林から、楽器をリペアできる友達がいるから“伊倉さん”を訪ねてみてと、ここの地図を託されまして…」
「あー小林…」
悪魔のベーシスト“伊倉さん”は思い当たる節があるのか友達の名前を呟くと、私の腕の中にある黒いサックスケースに目を落とした
「俺、趣味で楽器触ってるだけで、サックスのプロじゃないけど」
「わかってます!」
「わかってます…?」
「小林さんからも、そう言って断られると思うけど伊倉さんなら大丈夫だからって。それに、楽器屋さんに持ち込もうともしたんですけど、至急のリペア依頼が立て込んでいるみたいで、フェスの時間に間に合うかわからないと言われてしまって」
大規模フェスが連日開催されている状況下
彼は納得したようにあー、と呟くと、ため息をつきながらも部屋に招き入れてくれた