窓辺の席は当たり席らしい
七月二日

EP.2 朝のホームルーム

「おはよう。」
登校してすぐ校内のコンビニに寄り、お目当ての塩キャラメルのポップコーンを購入した。友達と話しながら階段を上り、二階の手前から二番目の二年四組の教室のドアを開ける。
ゴォォォォ_
……誰だよ、七月の朝からクーラーガンガンにした奴。クーラーの爆風が直撃し、せっかく朝に整えた髪が制御不能になって顔に打ち付けられながら、一瞬で死んだ目になる。
「千夏ちゃん、おはよう!!」
斜め前の席にいる寺坂さんが、くるりとこちらに椅子の向きを変え、ニコニコと笑う。
さすが、学校一の美少女。朝からまぶしい。窓からの朝日に照らされた、寺坂さんのストベリーブロンドの髪、右が淡い青のぱっちりとした目。愛らしい整った顔立ち。こんなん、ザ・ヒロインのような可愛さでしょ。
「おはよう、寺坂さん。」
水筒をスクバから取り出し、机に置きながら挨拶を返すと、「音羽でいいって言ったのにぃ!」と頬を膨らませる寺坂さん。可愛い。思わず、頭をよしよしと撫でそうになった手をギリギリで引っ込める。隣からの殺意のこもった視線がめっちゃ痛い、助けて。
「落合さん、おはよう。」
そうニコリと笑う隣の席の御堂悠人(みどうゆうと)_目が全然笑ってない、マジで目が笑ってない。
「お、おはようございます……。」
「音羽おはよう!!」
「うん、おはよう、悠人くん。」
声のトーン、私と寺坂さんで明らかに違くないか、御堂よ。レディーな私は傷ついたじゃないか。
弾んだ声で楽しそうに寺坂さんに話しかける御堂を尻目に、スクバからジャージを取り出して着る。さっきエアコンの温度設定確認したら、まさかの二十三度だった。犯人は間違いなく暑がりであるうちのクラスの担任だ。許すまじ。
それからしばらくスクバの中をゴソゴソと探り……気づく。サーッと血の気が引いた。
焦って、後ろのロッカーもゴソゴソ確認する。ない。……やばい。数学の準備一式、まるまる家に忘れてきた。
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