毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
だが剣先がゼンティに届くよりも先に、アレンが腰に携えていた長剣を鞘から抜いた。今のアレンは近衛兵の武装をしている。
「アディールの兵たちよ。来い。オレが相手をしてやる」
アディール王国の近衛隊長・アレンを目にした敵勢は一瞬怯むが、その隙を突いてアレンの長剣が次々と容赦なく兵を斬り捨てていく。
「リィラちゃんは危ないから下がっててね」
ゼンティもまた腰に携えていた剣を鞘から抜いて参戦する。アレンの太くて大きい長剣とは対照的に、ゼンティが構えるのは細身の長剣。
その剣をゼンティは軽々と振り上げ、素早い動きで相手を斜めに斬り下ろし倒していく。刺し殺さずに、わざと致命傷を外している。
やがて全ての兵が地に伏せると、その血の匂いに引き寄せられた獣魔が次々と周囲に集まってきた。やがて熊や犬の姿をした大型の獣魔たちに囲まれた。
戦いを終えたゼンティは、清々しく額の汗を拭う仕草をして獣魔たちに笑顔で呼びかける。
「ほら、好きなだけ食べなよ。早くしないと、こいつら死んじゃうよ」
獣魔は生きた人間を捕食して体を得る。だからこそゼンティもアレンも、兵たちに致命傷までは与えなかった。
リィラの目の前で、餌となった兵たちに魔物が群がっていく。咄嗟にゼンティはリィラの腕を掴んで歩き出し、その場から離れさせる。
「リィラちゃんは見ない方がいい。帰ろう」
リィラは残酷な捕食の場面を見るよりも、残酷な真実と現実を受け止めきれずに意識が遠のきそうになる。
ゼンティとリィラの後ろでは、二人の背中を守るようにしてアレンが息一つ乱さずに歩いている。
ゼンティはリィラの片手を握りながらも、いつもの爽やかな笑顔と口調で一切の闇を見せない。
「ふふ、本当にバカだよね。人間なんて格好の餌食なのにね」
魔物に成り果てたゼンティにとっては、命を狙う刺客は逆に都合が良かった。
評判や世間体を重んじる貴族は、人目に付かない森くらいにしか暗殺の刺客を送らない。
センティ王子を森で殺してしまえば、魔物に襲われて死んだと捏造する事なんて簡単だからだ。
「アディールの兵たちよ。来い。オレが相手をしてやる」
アディール王国の近衛隊長・アレンを目にした敵勢は一瞬怯むが、その隙を突いてアレンの長剣が次々と容赦なく兵を斬り捨てていく。
「リィラちゃんは危ないから下がっててね」
ゼンティもまた腰に携えていた剣を鞘から抜いて参戦する。アレンの太くて大きい長剣とは対照的に、ゼンティが構えるのは細身の長剣。
その剣をゼンティは軽々と振り上げ、素早い動きで相手を斜めに斬り下ろし倒していく。刺し殺さずに、わざと致命傷を外している。
やがて全ての兵が地に伏せると、その血の匂いに引き寄せられた獣魔が次々と周囲に集まってきた。やがて熊や犬の姿をした大型の獣魔たちに囲まれた。
戦いを終えたゼンティは、清々しく額の汗を拭う仕草をして獣魔たちに笑顔で呼びかける。
「ほら、好きなだけ食べなよ。早くしないと、こいつら死んじゃうよ」
獣魔は生きた人間を捕食して体を得る。だからこそゼンティもアレンも、兵たちに致命傷までは与えなかった。
リィラの目の前で、餌となった兵たちに魔物が群がっていく。咄嗟にゼンティはリィラの腕を掴んで歩き出し、その場から離れさせる。
「リィラちゃんは見ない方がいい。帰ろう」
リィラは残酷な捕食の場面を見るよりも、残酷な真実と現実を受け止めきれずに意識が遠のきそうになる。
ゼンティとリィラの後ろでは、二人の背中を守るようにしてアレンが息一つ乱さずに歩いている。
ゼンティはリィラの片手を握りながらも、いつもの爽やかな笑顔と口調で一切の闇を見せない。
「ふふ、本当にバカだよね。人間なんて格好の餌食なのにね」
魔物に成り果てたゼンティにとっては、命を狙う刺客は逆に都合が良かった。
評判や世間体を重んじる貴族は、人目に付かない森くらいにしか暗殺の刺客を送らない。
センティ王子を森で殺してしまえば、魔物に襲われて死んだと捏造する事なんて簡単だからだ。