毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
その頃のセンティの自室では、リィラが一人でベッドの上で仰向けになって倒れて呆然と天井を見つめていた。
遠くからシャワーの音が聞こえてくる。ゼンティは帰るなり浴室に直行した。戦闘での汗と返り血を洗い流しているのだろう。
(あの時のセンティは、命を狙われていた事に気付いてなかったの?)
リィラはセンティと出会った日の事を思い出す。
センティは王子でありながら、一人で危険な森の中にある毒の里・ポワゾンの付近まで来ていた。その目的とは何だったのだろうか。
レンティの殺意に気付いていたとしたら、そんな妹を助けてほしいとリィラに願うほどにお人好しな王子なのだろうか。
センティの遺志の通りにレンティを守るならば、それはゼンティを殺す行為と同じ。そんな矛盾と葛藤する。
(私は誰を守ればいいの……?)
リィラの視界には、いつの間にかゼンティの赤い魔物の瞳が映っていた。仰向けに寝ているリィラの顔をゼンティが覗き込んでいる。
湯上がりで濡れた銀色の前髪が艶やかで色っぽい。こんな時でも、ゼンティの美しさには見とれてしまう。
「ゼンティ、瞳の色が赤い」
「あぁ、戦って力を使ったからね。毒を補給させてよ」
リィラに口付けようとしたゼンティが何かに気付いて動きを止めた。まさか思考を読まれたのかとリィラの心拍数が上がる。
「そんなに心配しなくて大丈夫だよ。リィラちゃんは僕が守る」
リィラの心を読んだ、その力強い言葉と視線にリィラの鼓動が別の感情で高鳴る。
自分は誰かを守るのではなく、ゼンティに守られる立場で良いのだと。そう言われた気がした。
なぜか、その言葉がすごく安心を与えてくれて嬉しい。もしかしたら、これこそが『愛しい』という感情なのかもしれない。
「そうそう、僕たちの結婚の日は決まってるからね。幸せにしてあげるよ」
「何それ、二度目のプロポーズ?」
「ふふ、そう。結婚式と戴冠式を同時に挙げる計画だよ」
ベスティア王国では結婚式を挙げていなかったので一石二鳥だね、と言ってゼンティは楽しそうに笑う。
やはりゼンティはアディール国の王位と、リィラという妃を同時に手に入れて、権力を確かなものにするつもりでいる。
そして、それはレンティも同じだった。18歳の誕生日に自らの戴冠式と、アレンとの結婚式を計画している。
復讐と野望と計画、そして愛。アディール王国で重なる2つの運命が同時に動き出す。
遠くからシャワーの音が聞こえてくる。ゼンティは帰るなり浴室に直行した。戦闘での汗と返り血を洗い流しているのだろう。
(あの時のセンティは、命を狙われていた事に気付いてなかったの?)
リィラはセンティと出会った日の事を思い出す。
センティは王子でありながら、一人で危険な森の中にある毒の里・ポワゾンの付近まで来ていた。その目的とは何だったのだろうか。
レンティの殺意に気付いていたとしたら、そんな妹を助けてほしいとリィラに願うほどにお人好しな王子なのだろうか。
センティの遺志の通りにレンティを守るならば、それはゼンティを殺す行為と同じ。そんな矛盾と葛藤する。
(私は誰を守ればいいの……?)
リィラの視界には、いつの間にかゼンティの赤い魔物の瞳が映っていた。仰向けに寝ているリィラの顔をゼンティが覗き込んでいる。
湯上がりで濡れた銀色の前髪が艶やかで色っぽい。こんな時でも、ゼンティの美しさには見とれてしまう。
「ゼンティ、瞳の色が赤い」
「あぁ、戦って力を使ったからね。毒を補給させてよ」
リィラに口付けようとしたゼンティが何かに気付いて動きを止めた。まさか思考を読まれたのかとリィラの心拍数が上がる。
「そんなに心配しなくて大丈夫だよ。リィラちゃんは僕が守る」
リィラの心を読んだ、その力強い言葉と視線にリィラの鼓動が別の感情で高鳴る。
自分は誰かを守るのではなく、ゼンティに守られる立場で良いのだと。そう言われた気がした。
なぜか、その言葉がすごく安心を与えてくれて嬉しい。もしかしたら、これこそが『愛しい』という感情なのかもしれない。
「そうそう、僕たちの結婚の日は決まってるからね。幸せにしてあげるよ」
「何それ、二度目のプロポーズ?」
「ふふ、そう。結婚式と戴冠式を同時に挙げる計画だよ」
ベスティア王国では結婚式を挙げていなかったので一石二鳥だね、と言ってゼンティは楽しそうに笑う。
やはりゼンティはアディール国の王位と、リィラという妃を同時に手に入れて、権力を確かなものにするつもりでいる。
そして、それはレンティも同じだった。18歳の誕生日に自らの戴冠式と、アレンとの結婚式を計画している。
復讐と野望と計画、そして愛。アディール王国で重なる2つの運命が同時に動き出す。