毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~
 ドックを森に置いて城に戻ったアレンは、その足でまずレンティの部屋へと行く。
 気が高ぶっていたせいかノックを忘れたが、レンティはいつでもアレンだけは快く部屋に迎え入れる。

「あら、アレン。どちらにに行かれてましたの?」

 人を殺めておきながら、レンティはいつものようにテーブルに着席してティーカップを片手に微笑んでいる。
 アレンは感情を殺しながら普段通りの表情と口調でレンティと向かい合う。

「……毒の製造の担当者。始末したのですね」
「えぇ。あの男はダメですわ。使えませんわね。リィラさんと仲良くしすぎですし、いつ裏切るか分かりませんもの」

 これから最愛の恋人に裏切られるとも知らずに、レンティは呑気に悪魔の言葉を語り続ける。

「結婚式の日、お兄様とリィラさんのお食事には毒を盛りますわ」
「……お二人とも始末されるのですか」
「そうですわね。お二人とも死ねば、それでよいですわ。もしリィラさんが毒の種族なら毒は効かないでしょう。その時は毒の原材料として使いますわ」

 どの道、センティはその日に毒殺する。リィラに関しては普通の人間ならそのまま毒で死ぬし、毒の種族なら利用すればいい。
 そしてセンティとリィラの結婚式と戴冠式を、そのままレンティとアレンの式に変えてしまう。
 これが、レンティの18歳の誕生日に実行される計画の全て。

「……承知しました。必ず仕留めましょう」
「ふふ。もうすぐ私たちの時代になりますわ。一緒に幸せになりましょうね」

 アレンの言う『仕留める』相手とは、レンティの事であるとも知らずに。
 叶うはずもない野望を夢見て、レンティの運命の日は近付いていく。
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