冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「さっきから聞くに堪えない発言の数々。名誉毀損に当たりますよ」

 ご両親の反応に石坂さんは口を閉ざす。

「真子」

 そして佇んでいる石坂さんに山本先生が無気力に声をかけた。

「もういい。行くぞ」

 やさぐれているとでもいうのか生気を失った山本先生に、石坂さんは悔しそうについていく。

 部屋からふたりが出ていき、納富先生はため息をついた。

「やれやれ。これでまたマスコミをはじめ医療業界に向けられる目が厳しいものになる」

 続けて納富先生は成明さんのお父さんに微笑みかけた。

「久しぶりだな、三神。千八子さんも巻き込んで帰国早々悪かった」

 どうやら納富先生とお父さんは親しい間柄らしい。

「かまわない。医師と製薬会社の癒着……。直接関わりがないとしても、しばらくは対応に忙しくなりそうだな」

「まったく。ただ、めでたい話題もあるだろう。三神先生――成明くんが結婚とは。女性職員や患者の悲鳴がすごかったんだよ」

 苦笑しつつ納富先生が私に視線を送った後、頭を下げた。

「今回のダミアノ製薬の件、水面下で噂だけは聞いていたんだ。そんなとき、うちにもアプローチがあって、しかも成明くんを指名してきたものだから、確証がないまま無下にもできず、いっそのこと私も付き添って少し泳がせてみたんだ」

 成明さんが、石坂さんと会っていた理由は一連のやりとりで理解はしていた。
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