冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 ただでさえ注目されている三神さんに、そんな存在がいると知られたら、尾ひれをつけられいろいろ噂されてしまうのではないか。

 私なりに気遣ったつもりだったんだけれど……。

 なんて言えばよかったのか尋ねようとしたら、車はマンションの駐車場についていた。

「ありがとうございました。すぐにご飯の支度をしますね」

「ああ」

 車から降りて、お礼を告げる。当然、向かう先は一緒で、ふたりで部屋に上がるのは初めてなので、このシチュエーションがなんだか気恥ずかしい。

 今日の私はおかしい。三神さんとこんなにも長くマンション以外で一緒にいることがなかったから ?

 それでもただの冷たい変な人、という印象で彼のマンションで一緒にいてもなにも思うことはなかったのに。

 今日はイレギュラーな事態が続いているからかな。男の人慣れしていない自分が情けない。

 内心で反省し気持ちを切り替え、仕事をしっかりこなす。

 三神さんがすぐに食べられるようにとおかずは温めればいいだけの状態にしておいたし、お風呂掃除も終わっているので、あとはスイッチひとつで沸かすだけだ。

 すぐに準備できると言ったからか、三神さんは着替えた後、リビングで今日買ったばかりの本に目を通している。

 基本、彼は自室にこもりっぱなしなので珍しい。けれど悪い気はしない。

「ご飯、できましたよ」

 本を読むのを邪魔してかまわないかと ドキドキしながら声をかけたら、意外にも素直に応じ、三神さんはテーブルについた。一緒に食事をとるのは、すっかりお馴染みになっている。
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