冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 今晩のメニューは鶏肉のみぞれ煮と長いものバターソテー、春雨のサラダとれんこんのきんぴらとお味噌汁だ。

 きんぴらの味付けは母から教わった自信作で、押し付けるつもりはないのであえて三神さんに伝えてはいないが、以前作ったとき多めに食べてもらえたから作り置きにも向いているのでリピート率は高い。

 三神さんの様子をちらりとうかがう。最初はすごく偏食家かと思ったら、出したものは基本なんでも食べるし、食べ方は綺麗だ。

「本、期待通りのものでしたか?」

「そうだな。わざわざ受け取りに行ってもらった甲斐はあった」

 それはよかった。ホッとして箸を動かす。

 会話が弾むわけでも、わざわざ料理を褒められることもない。結菜と一緒に食事をとるときとはまるで違う。でも、一緒に過ごす安心感はたしかにある。

 けれどこれはあくまでも仕事で、本来私は彼と一緒に食事をする立場にはない。いつ終わるかわからない関係だ。

 食べて片付けたらさっさと帰ろう。

 そのとき、なんの前触れもなく叩きつけるような轟音が部屋に響き、視線をさまよわせる。三神さんは箸を置いて、窓に視線を飛ばした。

「雨?」

「みたいだな」

 私の呟きに同意が重なる。昼間も晴れていたし、雨の予報はなかったように記憶している。行儀悪いのは承知でスマホを手に取り、ニュースを確認する。

 線状降水帯が発生していて、大雨に対する警戒が呼びかけられていた。ここからさらに強い雨が予想されるらしい。

 電車、しばらくはまだ動いているよね。
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