冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「両親とは、血のつながりがないんだ」

 告げられた事実に、私は目を見張る。

「え?」

「本当の両親の記憶はない。物心つく前から浩明とふたり、施設で暮らしていた。十歳になる頃、子どもに恵まれなかった今の両親に引き取られたんだ」

 淡々と語られる内容は、思ってもみなかった内容だった。

「今の両親とは特別養子縁組をしているし、結婚に差し当たって特段、面倒事はないだろう 。実の親については調べたらわかるかもしれないし、両親や浩明は知っているのかもしれないが……。正直俺自身は興味がない」

 きっと成明さんの言葉に嘘はない。彼は今のご両親を本当の両親だと思っているのだろう。お母さんとは電話で少しだけ話しただけだけれど、成明さんの結婚を心から喜んでいたし、成明さんとの会話も普通の親子そのものだった。

「そう、だったんですね。話してくださってありがとうございます」

 私は静かに返す。

「礼を言われることじゃない。……もっと早くに話すべきだったな」

 結婚するなら、という意味合いだろう。私は首を横に振った。

「いいえ。こういうのってデリケートな問題ですから。こちらからあえて話すべきなのか、話した相手の反応とかとかいろいろ考えちゃいますよね」

 苦笑して答える。

 幼い頃に父親を亡くしていること、母も亡くし両親がいないこと。私も自ら話しはしなかったが、それを知った相手の反応は様々だった。ほとんどは大人の対応をしてくれるが、あからさまに見下したり、哀れみの目を向けてきたり。
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