冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「そうだな」

 ところが、返ってきたのは意外にも優しい声色だった。打って変わって、胸がぎゅっと締めつけられる。

 不意に会話が途切れた静寂の中で、私の速くて大きい心音が彼にも聞こえてしまうのではないかと心配になる。

 気持ちを切り替え、まだ伝えていないことがあったのを思い出した。

「あの……石坂さんと山本先生にいろいろ言われたとき、私の味方を……私を信じてくださってありがとうございました」

 前を向き、消え入りそうな声でお礼を告げる。石坂さんの言葉に飲み込まれそうになったが、迷いのない成明さんの態度にものすごく救われた。

「夫が妻の味方をしないで誰がするんだ?」

 当然と言わんばかりの口調で返事があり、目を瞬かせる。そこでちょうど車が信号で止まり、成明さんがこちらを向いたので、静かに視線が交わる。

「それに小夜のことは信用している。だから結婚を申し込んだ」

 このタイミングで、それはずるい。彼はお世辞も嘘も言わない。出会ったときから正直にはっきりと物申す人だった。だから、成明さんの言葉は胸の奥にずっしりと届く。

 両親以外で、こんなにも真っ直ぐに私を信じてくれる人っていたかな。

 目の奥が熱くなり、誤魔化すように少しうつむいた。
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