ポリスラインを翔びこえて



 *



2月の雨は冷たい。
まだまだ冬は明けなさそう。

寒い日が続くとぬくもりが恋しくなる季節だけれど、残念ながら私にそんな都合のいい相手はいない。


「蒼羽刑事、お疲れ様でしたあ」

「あ、おつかれ犬井くん」


自動販売機の前のちょっとしたスペースで小休憩を取っているとき、制服姿の犬井くんがやってきた。


「わあ、スーツ姿だあ」

「え、なんか変?」

「ううん、エロいおーえるって感じ」

「な、なに言ってんの変態!その制帽ごと頭かち割るぞ!」

「あは、蒼羽刑事になら殴られたぁい」

「……きも。犬井くんってそっち系だったの」

「わあ、今日もかわいいですね、蒼羽刑事の耳」

「ひゃっ…!ちょ、やめてよ急に!」

「あは、急じゃなかったらいいんだあ」

「んなわけあるか!」


所轄の交番から暴力団関係事件の書類を届けに来てくれた犬井くん。

本部に来るならもう少し緊張感持ってくれない?
セクハラもいい加減にしようね?
それと急に耳たぶ触ってくるのほんとやめてね?
弱いところはできるだけ他人に知られたくない。

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