ポリスラインを翔びこえて
「もー、うるさいな。ただの友達だってば」
「…にしてはまこちゃん、毎日お話ししてるね?」
「え、そうかな?まあ毎日連絡くれるから応援したくって」
「応援?」
「うん、犬井くん将来白バイ隊になりたいんだって」
「へえ、それはかっこいいね」
「かっこいいけど、犬井くんはどちらかと言うとかわいい系なんだよねー。そのギャップが興味深くて。こんな可愛い白バイ隊員がいたらどうなるんだろってなんか想像するだけでおもしろい」
くすくす笑う私を横目にセイ兄は味噌汁をすすった。
私も冷めないうちに飲み干す。
家の中は暖房が効いて心地よいけれど、窓の外は雨粒が冬風に殴られ息絶えながら落ちてゆく。
このときはまだ、知らなかった。
ほんとうのことはいつも、闇に葬られていたなんて。
狂った歯車は常に、静かに、そこに。
私を壊して、閉じ込めて、そして──。