ポリスラインを翔びこえて
「アオちゃんが泣いてる」
「ねえ炎くん、」
「うん」
「私を助けて」
「うん、たすける」
「私をこの檻から放って、一緒に翔んでくれる?」
「うん、翔ぼう、一緒に」
そう言って強く抱きしめてくれるきみのすべてが、正義にみえた。
家の前。
自分の家なのに、玄関のドアを開けるのが物凄くしんどい。
ゆっくり鍵をまわして静かに開ける。
足音を立てないよう注意深く滑り込む。
薄暗い廊下にリビングから灯りが漏れている。
忍者のようにささっと通り過ぎ自分の部屋に入ってベッドサイドの間接照明だけ点ける。
コートを脱いでラックに掛けて、物音を立てぬようお風呂の支度をしてそっと部屋を出ると。
「おかえり」
「っ!」
廊下で待っていたかの如くセイ兄が立ちはだかる。
セイ兄の気持ちを一度疑ってしまったからには意識せずにはいられなくて、うまく目を合わせられない。
ただいま、と辿々しく返せばそれが余計にやましい行動に見えたらしい、セイ兄はいつもの問い詰める顔になって私に迫る。