ポリスラインを翔びこえて
セイ兄は公安一課の役職補佐で、過激派暴力団の取り締まり部署にいる。
今回の抗争の情報も容易に入手できるし、アオちゃんが俺と逢瀬していることも気付かれている。
だから俺を消してアオちゃんから遠ざけようとしている。
という、あくまで憶測なんだけどね。ニコッ。
「いやニコッ、じゃなくてさ」
「え、じゃあニッコリ?」
「いやそうじゃなくて、憶測でしかないのにこんな危険なことしてアオちゃん死にたいの?」
「でも実際もう撃ってこないでしょ?」
「……、」
それはそうだ。
単に弾切れかもしれないけど。
「炎くんを守れるなら憶測だろうが危険だろうが何だって身を差し出すから安心してね」
「……」
「じゃ、いってらっしゃい」
危険な真似するな、とアオちゃんを叱っても無駄だと思った。
こんな無防備にひとを守ろうとする正義感のかたまりみたいなきみに、もはや呆れてしまう。
「アオちゃんいま仕事中じゃないの」
「私は怖くて何も見なかったことにするわ」
「あーあ、わるい警察官だ」
「……いろいろ知ってしまったもの、警察の裏側を」
「ふふ、ダークアオちゃん降臨」
「私の正義はあなたよ、炎くん」
「俺たちまた会えるかな」
「うん、約束する」
「約束」
ぎゅっと交わす小指を、一生離したくないと思った。
幸福と隣り合わせに居座る地獄は、
そう簡単に切り裂けない。
これから待ち受けるかなしい現実なんて、
一生やってこないでほしかった。
【END OF ▶ホムラマコト’s POV】